「日本マーケティング本 大賞2023」受賞の、読むべきマーケティング本3冊をご紹介
日本マーケティング学会(JMA)は、毎年優れたマーケティング関連書籍を表彰する「日本マーケティング本 大賞」を開催しています。
この賞は、1年間に発行されたマーケティング関連の書籍の中から「マーケティング理論や実践の普及のためにお勧めしたい書籍」を、日本マーケティング学会の学会員の投票によって選出するというものです。
先日(2024年6月10日)、2024年度のノミネート作品が9作品発表されました。大賞作品の発表は10月に予定されているようです。日本マーケティング本大賞のノミネート作品は、マーケティングの理論や事例を学ぶ際に勉強になるものが多いため、どの作品が受賞するのか気になるところです。
そこで今回は、前回(2023年度)大賞、および準大賞を受賞した3冊をご紹介いたします。興味を持った方はぜひ読んでみてください。
『イノベーションの競争戦略:優れたイノベーターは0→1か?横取りか?』
著者:内田 和成
早稲田大学名誉教授、東京女子大学特別客員教授。日本航空を経て、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月までBCG日本代表を務める。2006年より早稲田大学ビジネススクール講師。『仮説思考』『アウトプット思考』『ビジネススクール意思決定入門』など著書多数。
「イノベーション」という言葉を聞いて、どのようなことをイメージするでしょうか。今までになかったような製品や、画期的な新サービスのことを思い浮かべるという人は多いかと思います。
しかし本書ではイノベーションを、単にそういった「技術革新」のことではないと述べられています。本書においてイノベーションとは「新しい価値の創造によって、顧客の行動の変化を促すこと」だと定義しています。
本書では、そのような「行動変容を起こしたイノベーション」の事例を複数取り上げ、イノベーションの本質を分かりやすく解説しています。
『応援消費:社会を動かす力』
著者:水越 康介
東京都立大学経済経営学部教授。2000年神戸大学経営学部卒業。同大学大学院経営学研究科博士後期課程修了、博士(商学)。2019年より現職。著書に『応援消費の謎』、『ソーシャルメディア・マーケティング』など。
近年「応援消費」という新しいスタイルの消費行動が注目されています。
消費をすることによってコロナ禍で打撃を受けた飲食店を応援したい、自分が好きなブランドを応援したい等、お金を払うことで対象を応援・支援したいという意識でおこなう消費を「応援消費」と呼びます。
本書では、ふるさと納税や被災地支援、バイコットなど、応援消費に関する様々事例を取り上げ、贈与を交換化させるマーケティングのメカニズムについて解説しています。
『進化するブランド:オートポイエーシスと中動態の世界』
著者:石井 淳蔵
神戸大学名誉教授。1970年、神戸大学経営学部卒業。同経営学研究科を修了後、同志社大学商学部および神戸大学経営学部・経営学研究科教授を経て、2008年より流通科学大学学長(~2016年)。『ブランド 価値の創造』『マーケティングの神話』など著書多数。
本書は「ブランド 価値の創造」など、マーケティングに関する数多くの著作を出版されている石井淳蔵先生のブランディングについての大著です。約400ページにも及ぶボリュームのため、一見手に取りにくいように思われますが、阪急やカゴメなどといった日本企業に事例に沿って解説されているため、読み進めやすい内容となっています。
ブランドがブランド「らしさ」を形成しながら進化していくプロセスを様々な事例を交えて解説しています。
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(digmar編集部)