急成長を遂げているタカマツハウス 「成功の秘訣」をインタビュー
髙松コンストラクショングループ会社として設立し、設立5年で売上269億円と急成長を遂げているタカマツハウス。
2023年にはタグライン「見晴らしの良い未来」を策定し、厳選された立地で多くのお客様に選ばれています。
また、2024年5月には初の書籍『全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方』を出版し、そのマネジメント手法にも注目されています。
売上が急拡大している背景には、しっかりとしたマーケティング戦略があるのではないかと思います。
そこで今回はタカマツハウスの方々にご協力頂き、成功を支える戦略(チームマネジメント、PR戦略など)について
お話を伺いました。
住宅業界だけに限らず、特に企業の中間管理職の方々に参考となる内容となっております。
ぜひとも、ご一読ください。
【お聞きした方】
タカマツハウス株式会社(https://takamatsu-house.co.jp/)
取締役専務執行役員 金田 健也様
人事部主任 馬場 也哉子様
タカマツハウスとは
初めに、タカマツハウスの事業概要を教えてください。
金田氏:一言でいうなら、戸建住宅のデベロッパーです。首都圏(一都三県)で土地を買って建物を建て、販売しています。土地だけを売るものもあり、建売が4割、土地だけで売るのが6割くらいです。
「ミラクラス」というブランド名で展開されていますが、その名前の由来について教えてください。
金田氏: 「ミラクラス」というブランド名は、創業当時まだ20名程度の社員達の意見を聞きながら、私たちが提供したい住まいや暮らしのイメージを言語化したものです。前職からブランディングを支援してもらっていたアドバイザーのお力添えも頂き「未来」×「暮らす」で「ミラクラス」となりました。
お客様のための「MIRACULOUS(=奇跡的)」出会いとの思いも込めたのですが、創業後の奇跡的な急成長を暗示していたのかと考えると、とても愛着が湧きます。
他社商品と比べて、どのような点が御社の強みですか?
金田氏:まずは圧倒的な立地の良さですね。ミラクラスの分譲実績は駅距離だと、10分圏内が59%、15分圏内だと91%になります。こんな戸建デベロッパーは他に無いと自負しています。更にそのマーケットに合った価格やデザインの建物を一棟ごとに厳選していますので、お客様のニーズに合った分譲住宅を提供できるのが強みです。
設立して5年で売上269億円を達成され、すごいスピードで成長されていると思いますが、そのことについて、お聞きします。
ゼロからのスタートでしたが、このように順調に進むと思っていましたか。
順調に成長している大きな要因はどのようなことが挙げられますか?
金田氏:ここまで順調に進むとは想像していませんでした、創業当初は社員もいないし、コロナ禍にも見舞われて、正直新規事業は始まる前に終わるかもと言う危機感がありました。成長の要因として一番大きいのは、髙松グループの資金力だと思っています。一般的にデベロッパーは、一つのプロジェクトに対してその都度銀行にお金を借りる必要があるので、一気にたくさんの土地を仕入れることは難しいです。また、返さないと次を借りることができません。
その点、当社は髙松グループの潤沢な資金によってスピード感をもって進めることができました。
2つ目は、やはり髙松建設のブランド力です。タカマツハウス設立の2019年時点で、髙松建設は創業102年で歴史と信頼がありました。土地の売主さんもどこの誰だか分からないような会社には売ってくれないので、ブランドがある、歴史があるというのは大きかったと思います。
チームマネジメントがもたらす強い組織づくり
ここからは組織体制についてお聞きしたいと思います。
金田さんの著書にあるようなチームマネジメントは設立当初に生まれたのですか?
金田氏:藤原(社長)は落ちこぼれを作らない、囲い込んで応援するんだということを設立時から言っていました。
成果が出ない社員について、やる気がないから使いものにならないと藤原に相談した時に、「それは応援が足りないからだ」って言われたんです。
「応援して囲みこむんだ。みんな落ちこぼれたくて落ちこぼれているわけじゃないだろう」って。
実際、落ちこぼれる人はいないのでしょうか。
また、そういった人がいた場合、どういったフォローをしているのでしょうか?
金田氏:落ちこぼれを作らないようにマネジメントが関与していますが、100%ではありません。営業の成果が出ないのは必ず原因があります。営業活動の中で、お客様のところに行く準備から始まって、お客様のところに行って良い印象を持ってもらって、プロだと認めてもらって、というジャーニーのなかで、どこかで躓いています。本人はどこで躓いているのかわからないから落ちこぼれているので、リーダーが一緒に見つけて考えてあげる。ルートが少ないのか、行った時に相手にされないようなトークしかできてないのか、案件はもらっているけれども、そのあとの交渉力がないのか。改善点を見つけて、今月はここまでやろうと本人に言わせる。「何件やれる?」 「200件やります。」 「よし、がんばれ。」と。
ここからは応援です。「すごいな、君ならできると思ったよ。」という風にコーチングします。
著書( 『全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方』 )を読んで、
「リーダーは手を離しても、目を離さない」という言葉が印象的でした。
金田氏:メンバーの育成、成長度合いによってですね。手は離しますけど、心は離さない。ただ、感情のところなので難しいですね。それはやはり経験と感性の部分なので、AIにはできないと思います。
言わないといけないときは厳しく指導することもありますが、そういうときでも厳しさ10倍・愛情100倍で。
「その日の寝つきが悪くなるようなことだけは避けてあげよう」と藤原が言っているので、私も一日が終わったらゆっくり眠れるように最後にはちゃんとフォローします。
リーダーには、みんなを囲みこんで、湧き上がらせて、前向き思考になれるようにマネジメントしてほしいと伝えています。自分たちが社長に心を揺さぶられて、結果を出して認めてもらいたいという気持ちになったときのように、メンバーに伝えなさいとリーダーには教えています。
藤原社長のマネジメントは前職(積水ハウス)で学んだものなのでしょうか?
金田氏:幼少期から学生時代、社会人経験を経て、独自に学ばれたのだと思います。藤原の周りには、人が集まるんですよね。これは天性のものだと思います。いわゆる人望ですね。当社の書籍をお読みになった藤原の昔の知り合いからは、「昔から言っていることが、全然変わりませんね」と言われたそうです。
あと藤原は正直で裏切らない人なんですよね。この生き様を尊敬しています。正直で裏切らない経営者です。
そしてタカマツハウスもそういう会社でありたいと思っています。
営業の体制について、同業他社とは異なり、販売担当者よりも仕入担当者を多くしているそうですが、なぜそのような体制にしているのでしょうか?
金田氏:大手ハウスメーカーは圧倒的な販売力を持っていますし、歴史と実績からノウハウも豊富にあります。
しかし、設立時のタカマツハウスはそういった強みはなかったので、誰が売っても売れるものを作ろうと心掛けました。
当時未経験者でも、とにかく数多く情報を集めてもらい、それを自分たち経験者が判断するというスタイルなら勝負できると考えました。
月におおよそ2000件くらいの情報が集まりますが、その中から実際に購入に至るのは20、30件程度です。こういう物件をくださいと伝えているのでそれなりの物件が集まるのですが、タカマツハウスの分譲住宅としてふさわしいものを厳選しています。
全社で取り組む広告・PR戦略
社内報をオープンに配信しているのを拝見しました。noteの他にも現在強化しているPR施策があれば教えてください。
金田氏:もともと社員のエンゲージメントを高めるために社内報を検討したのですが、外部の方に取材してもらい、それを記事にしてもらって社内に配信すると聞き、すごく閉じたものになってしまうと感じました。そこで調べてみたところ、noteと言う記事コンテンツを発信できるサービスを使っている企業があると知り、それなら自分たちでやろうということになりました。
馬場氏:取材をし、noteで配信されている社員の一部には、お客様や取引先に共有し、自分自身について知ってもらうツールの一つとして活用している人もいます。
現在は毎週金曜日に配信しています。社内にネットワークが広がっているのでネタは尽きないです。
また、Instagramはルームツアーなど住宅の情報を発信するアカウントと採用や最新情報を発信しているアカウント、2つを運営しています。
金田氏:PR戦略は非常に大事だと思っています。最初は予算も無かったので、無料でメディアに取り上げてもらうということを積極的に行っていました。今も積極的にメディアアプローチしており、最近だとビジネス誌『プレジデント』にも取り上げてもらいました。こういった会社の認知を高める活動で成果を上げましたので、今後は住宅の良さをPRしていく必要があると思っています。タカマツハウスのミラクラスなら、都心の好立地のものを提供してくれるに違いないとお客様に認識していただけるようにPR活動しようと考えています。
今後のビジョンについて~1兆円企業に向けて~
目指す姿としてどのようなご方針をお持ちなのでしょうか?
金田氏:戸建の領域では、当社は都心の好立地のものを提供すると決めているので、注文住宅や地方への進出ということは考えていません。(大阪には、タカマツハウス関西があります。)
将来的にも資産価値を維持できるものを提供してもらえるはずだとお客様に安心していただけるのが理想の姿です。
1兆円企業を目指しているとお聞きしましたが、それに向けて現在の課題点としてどのような点がありますか?
金田氏:まだ300億、400億という世界なので全然わからないですね。ただ外部環境に関しては、プラスにしか捉えないようにしています。何もネガティブには考えていないです。マンションの高騰も追い風、空き家の増加も追い風、その中でどうやっていくかということを考えています。
内部環境としては、これから成績を上げていこうと思うとやっぱり「人」が重要になります。ですので、採用と育成が最大の課題です。
編集後記
今回は、設立5年で急成長を遂げているタカマツハウスの方々に組織づくりやPR戦略についてお話を伺いました。
急成長の背景には、社員に寄り添うチームマネジメントや競争との差別化を図った営業体制など、綿密に設計されたマーケティング戦略があるのだと実感しました。
特に、チームマネジメントについては、仲間に対して決して諦めない、応援して共に成長を目指すという
”個ではなく組織”という人を大切にしている企業姿勢が成功へとつながっているのだと強く印象に残りました。
改めまして、貴重な機会をいただいたことにタカマツハウス株式会社様には深く御礼申し上げます。
取材協力:タカマツハウス株式会社
(digmar編集部)
*タカマツハウスにご興味を持った方はホームページをご覧ください。
*本編でご紹介した本はこちらです。
『全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方』(著者:金田 健也氏)