デスクリサーチ(机上調査)とは?メリット・デメリットと具体的な調査方法を解説!

デスクリサーチ

デスクリサーチ(机上調査)は、昨今のビジネスの場においてよく用いられる調査手法の1つです。この記事では、デスクリサーチの概要やメリット・デメリット、具体的な進め方を解説しています。

デスクリサーチの概要や、企業での活用方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

デスクリサーチとは?

デスクリサーチとは、主に既存の文献や、一般に閲覧可能な官公庁の資料などを活用して行われる調査手法です。名の通り、既にあるデータを机上(デスク)で調べるということです。具体的には、誰でも自由に複製や加工、頒布などができる公開データ(オープンデータ)を、ニーズ調査や市場調査などのために二次利用することを指します。

デスクリサーチに用いられるデータは、主に次のようなものがあります。

  • インターネット検索
  • 公共図書館の文献
  • 大学の研究
  • 新聞やテレビ番組、ラジオなど

現代において、デスクリサーチといえば主に「インターネット上での調査」を指すことが一般的ですが、上記のような調査方法も含まれているのです。

ただ、インターネット上の情報は信憑性に欠ける場合があるため注意が必要です。公共図書館の文献や大学の研究結果など、信頼性の高い情報源を活用してデスクリサーチを行うことが重要です。

この時、情報源の信頼性を慎重に考慮することが欠かせません。極力、官公庁が公表しているデータや専門家の意見など、信頼性が高い情報源を選ぶことが推奨されます。

デスクリサーチのメリット

他の調査手法と比較した、デスクリサーチならではのメリットを2つ解説します。

コストが格段に安い

デスクリサーチは、自分で調べることを前提とした場合、調査コストが格段に安いことがメリットとして挙げられます。

オフィスやデスク上で行われるため、フィールドワークや実地調査が不要な場合があります。インターネット検索では費用はかかりませんし、公共図書館の文献を調べるにしても、自分で調べることができるため、費用を抑えることができます。

結果的に費用がかからないため、コストを抑えて調査したい場合にデスクリサーチが役立ちます。

迅速に結果を得られる

デスクリサーチは他の調査手法と比較して、迅速に調査結果を得られることもメリットです。

アンケート調査やインタビュー調査では、情報の精度は高い一方で、調査票の設計や調査会場の設営には手間や時間がかかります。また、回収期間が長く、結果を得るまでに数ヶ月単位の時間を要することもあります。

それに対して、デスクリサーチではインターネット検索や公共図書館の文献などを利用することで、当日中に調査結果を得ることが可能です。このように、すぐに調査結果が必要なケースにおいて、デスクリサーチは非常に有効な手段といえます。

デスクリサーチのデメリット

デスクリサーチにはメリットもありますが、その反面でデメリットも存在します。調査手法としてデスクリサーチを選択する際は、次のようなデメリットに配慮して実施することが求められます。

信憑性の薄いデータがあるので精査が必要

デスクリサーチでアクセスするデータは信憑性が薄い場合もあるため、精査する知識と技術が必要になります。

例えば、企業が公表している調査データでも、実施者の意向によって偏りが生じることは往々にしてあります。特に、企業ブログや新聞などの二次情報は必ずしも正しいとは限りません。これらの二次情報にアクセスする際には、常に情報の信憑性を確認する手間がかかります。

さらに、デスクリサーチでアクセスするデータは自社で調査しているわけではないため、現地の状況や地域の文脈を正確に把握することが難しい場合があります。

このように、デスクリサーチを行うためには、調査者が情報の正確性を見極め、裏取りをするスキルが求められるのです。

情報を読み解く知識が必要

デスクリサーチで利用するデータには、難解な専門用語や、背景を知らない方にとって理解が難しいものが多く見られます。特に、官公庁が公表しているデータや、大学が公表している研究結果などは、その分野に精通していないと十分に理解できないこともよくあります。

自ら調査を実施するデスクリサーチでは、情報を理解できるだけの一定以上の知識が求められるため、新しい分野での調査は一層難しくなります。

また、情報の制約がある点にも注意が必要です。既存の情報に依存するため、例えば法改正などの新しい情報が反映されておらず、現実からやや乖離しているケースもありえます。

情報が古いことも多い

デスクリサーチで利用するデータは、時折情報が古く、活用しにくい場合があります。リアルタイムで実施するアンケート調査やインタビュー調査などと比較して、情報の鮮度で劣ってしまうのがデスクリサーチの難点です。

調査結果は最新のものである方が望ましいですが、デスクリサーチでは一次情報が必要な場合に、その情報が古いこともあります。例えば、官公庁のデータをインターネット検索で調べても、欲しいデータが5年以上前に公開されたものだったなどのケースは珍しくありません。

最新の情報が入手できない場合、デスクリサーチで古いデータを利用する際には、それを現在の市場環境などと比較し、乖離がないか確認するプロセスが不可欠です。

デスクリサーチの方法・具体的なやり方

デスクリサーチにおいては、漫然とインターネットで検索して調査するといったアプローチが見受けられますが、これだけでは十分な成果を得られません。デスクリサーチで十分な結果を得るには、適切な手順に従って調査を進めることが重要です。

ここからは、デスクリサーチの適切な手順について解説します。

①調査の目的を整理する

まずは何のために調査するのか、デスクリサーチの目的を明らかにします。調査目的が曖昧なまま進めると、正しい調査結果を得ることができません。

デスクリサーチの目的はさまざまですが、例えば次のようなものが挙げられます。

  • 新商品の開発において、市場の状況や競合会社、ターゲット層の嗜好などを把握するため
  • 業界のトレンドを分析するため
  • 既存商品の市場における、顧客のニーズを把握するため など

デスクリサーチでは利用できる情報が膨大にあるため、知らず知らずのうちに当初の目的から外れた調査結果にあたってしまうこともよくあります。そのため、デスクリサーチを開始する前に目的を明確にし、それに基づいて調査を進めることが大切です。

②仮説を立てる

調査の目的を明確にしたあとも、まだ調査は進めるべきではありません。次に行うべきは、仮説の構築です。

ただし、仮説は厳密に構築する必要はなく、後に修正しても問題ありません。仮説構築で重要なのは、その後のデスクリサーチの精度を高めることです。

例えば、構築する仮説には次のようなものがあります。

  • 競合他社と比べてロゴのデザインが古く、それがブランドイメージの毀損につながっているのでは?
  • 主要な流通先をコンビニエンスストアにしていたが、実はスーパーマーケットのほうが適しているのでは?
  • 健康志向の高まりから、実は自社が体に優しい製品を求められているのではないか?

このように大まかに仮説を立てることで、実際のデスクリサーチの道筋が明確になります。

③調査に関連するキーワードを抽出する

デスクリサーチを進める際は、よく利用されるインターネット検索の進め方を参考にします。

GoogleやYahoo!などで検索窓にキーワードを入力して情報を検索しますが、キーワードプランナーラッコキーワードなどのツールを活用して、調査に関連するキーワードのサジェストキーワードや関連キーワードを抽出します。

また、インターネット検索以外でデスクリサーチを実施する場合、情報の場所に探すことに極力時間をかけないよう、自社が調べたい情報がどこにあるかを把握しておくことが大事です。

④検索した結果を「一次情報」と「二次情報」に分類する

調査で得た情報は、一次情報と二次情報に分類します。一次情報と二次情報には、次のような違いがあります。

  • 一次情報…情報の元となる直接的な情報源。総務省や厚生労働省などの省庁や、自治体、調査会社などが発表したデータなど
  • 二次情報…一次情報を編集して公表した情報。省庁が発表した調査を取り扱ったニュースや、調査会社が発表したデータに主観的なコメントを加えた企業ブログなど

デスクリサーチで利用するのは、基本的に一次情報です。企業ブログなどの二次情報を見つけた場合でも、その情報をたどって官公庁などの一次情報を確認し、情報の裏取りを行うことが基本的な手順です。

⑤一次情報を軸に、仮説を検証しレポートにまとめる

一次情報を中心にして調査を進め、情報が不足する場合は必要に応じて二次情報を活用しながら、調査結果をレポートにまとめます。

レポートを作成する際には、②で立てた仮説を実際の調査結果で検証しながら進めることが、精度の高いレポートを作成する鍵となります。

また、誰が見てもわかりやすいように調査結果をまとめることも大切です。

なお、レポートを社外に公表する際は、著作権を考慮する必要があります。著作権を有しており、かつ転載などが認められていないデータをレポートに使用して公表した場合、著作者から損害賠償を請求されたり、会社の信用を毀損したりする恐れがあるからです。

さらに、データを公表できるとしても「非営利目的のみ」など用途が限られるケースもあります。データを社外に公表する予定がある場合は、調査時に利用規約などの確認が必要です。

まとめ:デスクリサーチは有効な方法だが注意は必要

デスクリサーチは特定の情報へ迅速にアクセスし、効率的に整理・分析する手法として有用です。一方で、限定された情報や信憑性の問題、現地の状況不把握といったデメリットも考慮する必要があります。

デスクリサーチを実施する際には、その目的や課題に適した方法を選択することが重要です。

市場調査や新規商品開発のための調査において、デスクリサーチでは調べられる情報に限界があり、その他の調査手段が求められる場合があります。
もしデスクリサーチを検討している方や実施したいけど進め方がわからないなどございましたら、お気軽にぜひ弊社までお問い合わせください。

(digmar編集部)