次はどうなる? 累計100万食突破の日清食品「完全メシ」から完全食の未来を考える

日清食品から誕生した「完全メシ」シリーズ。2022年5月30日に5つのラインナップが発売され、スタート時には想定の2倍の売り上げとなり、1ヶ月間の累計出荷数は100万食を突破しました。発売から約3ヶ月が経ったいま、日清食品のブランドマネージャー 金子大介氏に販売動向とお客様の反応をうかがい、FoodClip編集部が完全食のこれからを考えます。

<お話をうかがった人>
日清食品株式会社
ビヨンドフード事業部 BtoCグロッサリーグループ
ブランドマネージャー
金子 大介氏

3秒に1食売れているほど大人気!

発売して約3ヶ月、とても好調だとお聞きしていますが、現在の売れ行きはいかがですか?

非常に好調です。日清食品のオンラインストアと楽天市場、そして一部の小売店で販売を開始しましたが、TVCMなどの大々的なプロモーションをおこなっていない段階から、多くのお客様に購入していただくことができました。日清食品グループ オンラインストアでお買い求めいただいたお客のリピート率も、他の商品と比べて高い数字を記録しています。

購入層はどのような方が多いのでしょう?

「栄養バランスが気になり始めたけど、あれこれ考えるのがめんどくさい」そんな30代から40代の男女の方をメインターゲットに設定しており、想定していたターゲット層の方々に購入していただいています。

実際、購入された方の反応はいかがでしたか?

SNSなどで拝見するコメントのうち、9割以上がポジティブな反応です。「カレー」や「油そば」といった、一見、健康とはかけ離れたイメージのあるラインナップにギャップを感じつつも、実際にお召し上がりになった方からは『おいしい!これで栄養が摂れるならいいね』といったコメントを多数いただき、嬉しく思っています。

最新技術を駆使して“おいしさと栄養の完全バランス”を実現

栄養バランスを謳った商品には「おいしくない」「満足できない」という先入観がありますよね。「完全メシ」を実際に食べてみて、栄養が摂れる食という前提を抜きにして「おいしい」と感じました。

ありがとうございます。“おいしさ”にはとことんこだわりました。「完全メシ」は、日清食品がインスタントラーメンなどで培ってきた技術を応用した最新のフードテクノロジーを駆使して開発しました。
例えば、ビタミンやミネラルなどの栄養素には独特の苦味やエグみがあり、当然ながら味わいに影響を与えてしまいます。そこで、さまざまな加工技術やうまみ素材などを駆使することで、そうした苦味やエグみを感じることなく、おいしく食べられるようにする「おいしさの再現技術」を使いました。また、世界中から約170の塩を集めて分析し、塩が少なくてもおいしく感じられるような「減塩技術」も使っています。
おいしいからこそ、普段の食事に取り入れやすく、継続して食べられる。このあたりを高くご評価いただけているのではないかと考えています。

今回の6品はカテゴリに幅があり、おいしさと栄養の技術はここまで応用できるのかと驚きました。

使っている技術は商品カテゴリによって異なります。「カレーメシ 欧風カレー」には、お米と栄養素を一緒に炊き込むことで、米本来のおいしさはそのままに栄養摂取も可能にした「米の加工技術」を使いました。
作りたい商品に合わせて、これまで培ってきた技術を応用し、最新の技術を生み出しています。今後も、さらに幅広い商品カテゴリに技術を展開していけると考えています。

「我慢せずに食べたい」をかなえるラインナップを選定

栄養が摂取できる商品のイメージを覆す、「カレー」や「油そば」といったメニューを選定されたのが意外でした。どんな思惑や基準があるのでしょうか?

お客様の「我慢せずに食べたい」という願いをかなえるようなメニューを選定しました。
健康や栄養バランスを気遣う人にとって、「カレー」や「油そば」は敬遠しがちなメニューです。明らかにヘルシーなものではなく、ジャンキーと思えるようなメニューを罪悪感なく食べられるのが「完全メシ」のユニークなところです。

一方で、「グラノーラ」や「スムージー」は、朝食などで手軽に食べたり飲んだりしていただくことを想定しています。「これなら続けられる」と、ケース単位でお買い上げいただいているリピーターもいらっしゃいます。

スムージーは常温で6ヶ月ももつんですよね。

そうです。常温でストックしておき、必要な分だけ冷やしておけば、好きなときに飲んでいただけます。最近は在宅勤務の方が増えていますので、仕事の合間に“小腹満たし”として飲んでいただくのもおすすめです。

発売してから課題に感じたことはありますか?

お客様やお得意先からは「5品じゃ足りない」という意見をいただいています。例えば、即席麺の「日清ラ王」であれば、「醤油」「味噌」「担々麺」など、色んな味から好きなものを選べますよね。そういったご要望にお応えできるよう、開発を急ピッチで進めています。

今後はカテゴリを越えて、さまざまな売り場やタッチポイントで「完全メシ」をお買い求めいただけるようにしていきたいです。

今後は、具体的にどういった商品を出される予定ですか?

具体的なことはお話しできないのですが、冷凍食品や菓子、さらには日清食品がこれまで手掛けたことのないような新カテゴリでの商品展開も検討しています。

9月に発売された木村屋總本店との共同開発による「完全メシ あんぱん」。
伝統のおいしさはそのままに、33種類の栄養素をバランスよく摂取できます。

9月7日よりTVCMがスタート。本格的な認知拡大へ

これからの新商品に期待が高まります。今後のプロモーション施策のご予定はいかがでしょう?

より多くの方に「完全メシ」のことを知っていただけるよう、さまざまなプロモーションをおこなっていく予定です。2022年9月7日からはTVCMの放映をスタートしました。今後は店頭でのプロモーションやデジタルでのPRなども進めていきたいと考えています。

欲を満たす食。行動変容不要が大切なポイント

お話いただいている「おいしさ」の先にあるものが、食の楽しさに繋がってそうだなと思いました。

当社は、“食は楽しいもの”であるべきだと考えています。我慢をしたり、無理をすると、食を楽しめなくなってしまいます。「完全メシ」は、栄養とおいしさが両立されていることを指して“完全”と表現しているのですが、こういった商品は、これまであまりなかったと思います。

Twitterで「待ってました!」というような反応を見かけたのですが、そこなんですよね。

栄養バランスの良い食生活を送ろうとすると、普段の食事メニューをガラッと変えたり、プラスで何かを食べたりなど、行動を変えなければなりません。しかし、「完全メシ」なら我慢することなくおいしいものが食べられるので、今までの食生活を変える必要がないんです。

ダイエットに利用する人も登場しそうです。

そうですね。近年は、間違ったダイエット方法により身体に必要なカロリーや特定の栄養素が不足する「隠れ栄養失調」の増加が問題になっています。例えば、カロリーを50%抑制すれば、当然ながら体重や体脂肪は減っていきますが、カロリーを半減するということは、含まれている必須栄養素も半減します。現代人の摂取カロリーは戦後直後と比較して10%以上も減少しているうえ、20代女性の野菜摂取量は目標値に対して40%不足しているとも言われています。
こういった現代ならではの食の課題を解決したいという思いもあり、「完全メシ」は誕生したんです。

ユーザーとして、これから色んなところで販売していただけるのを期待しています。

9月からは全国販売を開始しましたので、お近くのスーパーやコンビニでぜひお買い求めください。

編集部が考える食の未来について

現代に生きる私たちは、食に多くのものを求めています。おいしさ、学び、楽しさなどのエンタメ要素、栄養バランス、環境への配慮、サステナブルであること。今後はその多くをかなえるべく、完全栄養食のラインナップが増加。個々の健康状態や生活習慣に合わせたパーソナライズも進むと予想されます。

同時に生活者が当たり前のように完全食を選ぶことができれば「健康のために我慢する」必要はなくなっていくのかもしれません。

おいしい完全栄養食があることは、好きなものを食べても健康でいられる未来がある。料理を楽しむ助けになる選択肢が増える。そういう変化もわくわくしませんか?

※この記事はクックパッド株式会社が運営するFoodClipからの転載記事です。