グループインタビューの手法やメリットとは?活用方法や成功ポイント

グループインタビューとは、複数(4〜6名程度)の対象者を集め、座談会形式でインタビューを行う市場調査の手法のことです。グループインタビューを実施することで、インタビューの参加者同士が意見を交換し合うことによる相乗効果により、グループダイナミクスが期待されます。さらに、参加者同士が直接対話し発言することで、参加者の生の感想・意見を収集できるため、自社での市場調査に役立ちます。この記事では、グループインタビューの手法やメリット、適しているケースや進め方、成功のポイントを解説します。

※最下部に会場リストがあります。ぜひご利用ください。

グループインタビューの目的と手法(市場調査)

市場調査におけるグループインタビューの目的は、ネットリサーチや郵送調査など定量調査では把握しにくい消費者の心理や行動の背景の深層を知ることにあります。

グループインタビューとは、定性調査の代表的な手法の1つです。4〜6名程度の対象者(モニター)を会場に集め、司会者(モデレーター)が進行しながら座談会形式でインタビューを行う市場調査(マーケティングリサーチ)の手法です。

対話のテーマを特定の分野・商品ジャンルに絞って進行するグループインタビューのことを「フォーカスグループインタビュー(FGI)」と呼びます。例えば、自社で取り扱っている特定の商品の評価を確認したいときに、フォーカスグループインタビューが活用できます。

グループインタビューのメリット

グループインタビューのメリットについて解説します。

インタビューの参加者同士の相乗効果が期待できる

グループインタビューは、参加者が複数人いることで、それぞれの記憶や感情が触発され1対1では得られないような、予定調和を超える深い意見が聞けることがあります。例えば、あらかじめ用意していなかった問いが参加者から生まれ、商品開発・改善につなげられるような新しいアイデアを得られる可能性があります。このように、参加者同士が意見を言うことで生まれる「グループダイナミクス」効果を期待することができるのです。
なお、1対1でインタビューを行うデプスインタビューの場合は、他者との意見交換がないため、このような相乗効果は期待できません。

ユーザーの生の声を得られる

インターネットリサーチや郵送調査のような決まった設問に回答するのがメインの調査手法ではなく、参加者が自分の意見を自由に発言をすることができるため、本音を確認することが可能です。ただし、調査のコンセプトから話が大きく外れないように、司会者(モデレーター)はインタビューを進行することが重要となり、司会者(モデレーター)の手腕が問われるところです。

言葉以上のものを観察できる(得られる)

グループインタビュー専用の会場ではモニター室(ビューイングルーム)が完備されており、観察することが可能です。そのため、話の内容だけではなく言葉で発した以外のこと、例えば、調査対象者の表情や話し方、身振りなどを観察できます。こういった非言語的コミュニケーションを観察することで、調査対象者の本音や感情をよりリアルに把握でき、より多くの情報を得ることができます。

グループインタビューの実施に適しているケース

前述でグループインタビューのメリットを解説したように、グループインタビューは、定量調査では把握しきれないような、数字には反映されない消費者の心理や想定外の情報を得たいときに適しています。
では、どのようなケースで使われているか、よく使われているケースを解説します。

既存商品(サービス)の改善

既存商品(サービス)への印象や受容性を確認することで、それらの情報をリニューアルや流通戦略にも活用できます。さらに、現在の商品の使用状況や悩み、要望、購入、使用にいたった背景を聞き出して、プロモーションにも役立てることができます。

新商品(サービス)の評価(コンセプトやデザイン)

新商品(サービス)の評価を調査したいときにも役立てられます。例えば、試作段階のプロトタイプに対する意見・感想を集めることで、新しい商品のコンセプトやデザインの参考として開発に活かすことができます。

仮説を立てたい時

調査対象者のニーズや悩みを引き出すことで、新商品のアイデアを生み出すことに役立てられます。仮説の検証ではなく、確立したアイデアのない曖昧な状態から、グループインタビューを通して、インサイトを発見し、新しい仮説作りのヒントにしたいときに利用できます。

この時に得られるのは、あくまで仮説です。新たに質問や選択肢を用意し、仮説に当てはまる消費者がどのくらいいるのかネットリサーチなどの定量調査も組み合わせて実施するとより効果的です。

グループインタビューの進め方と必要な準備

ここでは、グループインタビューの具体的な進め方と必要な準備について解説していきます。

企画・調査計画書・インタビューフローの作成

まずは、現在自社が抱えている課題や調査の目的などをもとに、調査計画書やインタビューフローを作成(調査設計)していきます。課題の洗い出しや調査の目的がはっきりしていないと、グループインタビューを実施しても必要な情報を得ることが難しくなります。調査の根幹となるので、しっかり時間をかけて、調査計画書やインタビューフローを作成することが重要です。

リクルーティング・インタビュー会場の確保

調査計画書やインタビューフローの作成と同時に、商品(サービス)のターゲットに適した調査対象者の選定(リクルーティング)及び参加人数決めます。
一方、インタビュー会場も確保します。グループインタビューを実施する会場は、以前は調査対象者の表情や動きを見るためにミラールームがある会場で実施していました。しかし、近年は機材の性能や設備環境が向上したことにより、必ずしもミラールームのある会場で実施する必要性がなくなり、ビデオ撮影で実施することも増えています。

最近ではコロナ禍の影響で、オンライン形式の調査手法(オンラインインタビュー)も活用されることが多くなっています。詳しくは「オンラインインタビュー」をご覧ください。

実査(インタビュー)・デブリーフィング・報告

グループインタビューの実施後に、司会者(モデレーター)やクライアントなどの関係者で会議をします。これをデブリーフィングと呼びます。各関係者で意見交換することで要点の整理ができます。もし問題点があれば洗い出し、次回以降は改善した内容で実施できます。デブリーフィングはインタビュー実施後に毎回行います。特に初回実施後のデブリーフィングの実施が重要です。

全グループインタビューが完了した後、グループインタビューから気づいたことや新しく発見したことなどをまとめた報告書を作成します。そして、アウトプットの場として報告会を行い、次の施策へと繋げます。

グループインタビューの実施で成功するポイント

グループインタビューを成功に導くためには、以下の4つのポイントを意識する必要があります。

インタビューの目的の確認と課題の明確化

まず、グループインタビューを実施する際は、どのような目的(課題)を持ってリサーチを実施するか検討する必要があります。よく深く考えずに「定性調査を行う必要があるから、とりあえずグループインタビューを選ぶ」と考えてしまうこともありますが、実際には別の手法が適していることもあります。また、課題が不明瞭なまま調査を進めると、実施しても課題が解決しないという結果になるおそれもありますので、明確化した上で進めることが重要です。

的確なリクルート(インタビューに参加する対象者の選定)

2つ目が的確なインタビューの参加者を選ぶことです。インタビュー参加者の条件がずれてしまうと、意図した回答が得られず、調査そのものが無駄になりかねません。また、謝礼欲しさに虚偽の回答をしてまでモニターに応募してくる可能性もありので、慎重に選ぶ必要があります。

インタビューのスキルがある司会者(モデレーター)を選定

グループインタビューを実施するにあたっては、スキルのある司会者(モデレーター)を選定する必要があります。実査では、調査対象者をリラックスさせて議論を活発にし、本音を引き出すことが重要です。しかし、実際の現場では「参加者が他人に遠慮してしまう」「他の人の意見に流される」「テーマと話がズレてしまう」といったことも起こります。

そういったことが起きても、進行をコントロールしながら臨機応変に対応し、テーマに沿った情報を収穫できるような、スキルや経験を兼ね備えた司会者(モデレーター)を選定するのが良いです。(モデレーターについては、こちらも併せてご確認ください)

定量調査などの他手法と組み合わせ

グループインタビューで得られる感想や意見はあくまで個人的なもので、市場シェアやブランド選好度などの数値は測れません。そのため、先ほども触れた通りグループインタビューで収穫した情報をより効果的に活用するなら、会場調査やネットリサーチ、郵送調査などの定量調査と組み合わせることも有効です。
前述したように課題や目的を考えながら、定量調査なども併せるかどうか、検討することも大切です。

まとめ

今回紹介したグループインタビューは定性調査の一種です。グループインタビューには、「参加者同士のグループダイナミクスが期待できる」「調査対象者の本音を聞き出せる」ことから、深層がわかる、本音が聞けるなどのメリットがあります。しかし、グループインタビューを実施するには、対象者の選定、司会者(モデレーター)の選定、会場の用意などすべきことが多く、方法を理解していないと難しさを感じることも少なくありません。

質の高いグループインタビューを実施するには、プロに依頼するのがおすすめです。「マーケテイング・リサーチ・サービス」では、経験豊富な調査員がグループインタビューの実施をサポートします。

また、費用などを知りたい方もぜひお気軽にお問い合わせください。

グループインタビューの会場リスト

グループインタビュー専用会場をまとめました。
※内容に変更がある場合がございますので、実際にご利用する場合には、各会場に直接お問い合わせください。

<東京>

名称URL
アドバンス渋谷https://m-advance.co.jp/?p=134
Wellcoグループインタビュールームhttp://www.wellco.jp/index.html
J-ファシリティ中目黒 インタビュールームhttp://www.jsr-group.jp/
STEP B-1 Interview Roomhttp://www.officekokiriko.com/b1_01.html
Interview Studio G-1http://www.officekokiriko.com/g1_01.html
ROOMSEEDhttp://www.roomseed.com/
アーキテクトインタビュールームhttp://giroom.architect.co.jp/
バイデンハウスインタビュールームhttp://www.weiden.jp/interview-room
グループインタビュールーム赤坂http://www.tgi-m.com/
インタビュールーム新橋http://s.giroom.jp/
ACORN Japanインタビュールームhttps://www.acornjapan.jp/interview-room
MCHグループインタビュールームhttp://www.e-mch.jp/group_interview/room.html
高田馬場フォーカスルームhttp://www.marketing-s.jp/focusroom/
インタビュールームes(エス)東京https://es.ssri.com/about/

<大阪>

名称URL
J-ファシリティ大阪 インタビュールームhttps://www.jsr-group.jp/osaka-interview
フェム大阪インタビュールームhttps://www.femmarketinghouse.jp/access/index.html#osaka
インタビュールームes(エス)大阪https://es.ssri.com/osaka/

<福岡>

名称URL
西日本リサーチセンターhttp://www.nnrc.co.jp/service/interview.html
プリミティブ・ドライブ インタビュールーム 「Qrie」https://www.primitive-drive.co.jp/room.html

<名古屋>

名称URL
ビデオリサーチ中部支社(グループ インタビュー施設)https://www.videor.co.jp/service/facility/chubu.html

(digmar編集部)