会場調査(CLT)の手法やメリットとは?活用方法や成功ポイントも解説

会場調査(CLT)は会場テストとも呼ばれ、会場に調査対象者となるモニターを集め、あらかじめ用意しておいた調査対象の商品・サービスについて、アンケートやインタビューを行う調査手法です。市場調査(マーケティングリサーチ)において、特に試飲・試食やパッケージ評価や広告評価などの目的で実施され、調査専門スタッフが調査を管理するため正確性・信頼性を担保しやすいという特長があります。本記事では、会場調査の手法や目的、メリットや手順と成功ポイントを紹介します。

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会場調査(CLT)の手法や目的・活用方法

はじめに、会場調査・会場テストとはどのような手法なのか、また、どのような目的で活用できるのかについて紹介します。

会場調査の手法

会場調査とは、調査対象者(モニター)を会場に集めて、調査専門スタッフの管理のもと、調査対象の商品・サービスについてアンケートやインタビューを行う調査のことです。会場テスト、または「Central Location Test」の頭文字をとってCLTと呼ばれることもあります。調査対象者全員のテスト環境、条件を統一しやすく、さらに、調査専門スタッフがテストを進行するため、高い精度で調査を実施することができます。
対象者のリクルート方法は、街中で声を掛けて協力を得る方法(ストリートキャッチ)と事前に対象者をリクルートする方法(プレリクルート、事前リクルート)があります。そのそれぞれの方法については後述します。

会場調査の目的・活用方法

会場調査は、試飲・試食、パッケージ評価、商品陳列評価テスト(シェルフテスト)、競合商品との比較評価測定や広告評価など、さまざまな目的で活用できます。また、調査を行う会場に工夫を凝らすことで、幅広いテーマの調査に対応できます。例えば、実際の店舗さながらの商品棚が用意された専用会場を利用して、消費者の購買シーンと同じような状況でテストを実施することも可能です。

会場調査の3つのメリット

会場調査には、どのようなメリットがあるのでしょうか。調査対象者の自宅で調査を行うホームユーステスト(HUT)との違いにも触れながら、3つのメリットを紹介します。

正確性を保てる

会場調査では、調査専門スタッフが調査方法や商品・サービスの管理を行います。特に試飲・試食テストのように商品の温度や調理具合といった条件が、評価に影響を与えやすい調査の場合、徹底した管理下で正確な調査が実施できることは大きなメリットです。一方、ホームユーステストでは、テストの進行は調査対象者に一任する形になるので厳格に条件を管理することは難しいです。

また、会場調査では、調査専門スタッフがフォローすることで、アンケートの回答内容が抽象的でさらに掘り下げたい場合はその場でヒアリングすることができ、回答内容に勘違いがあっても、その場で確認できるので、精度を保つことができます。

リアルな反応が得られる

会場調査では、実際に商品を見たり、触ったりする調査内容を実施することが多いです。さらに、観察法も利用することもできます。例えば、商品陳列棚を用意して、最初にどこに目線が行ったのかアイトラッキングを利用して調べたり、どのパッケージが目立つかを調査したりすることも可能です。最近ではVRを使うこともあります。

機密性が高い

会場調査は、テスト会場という調査専門スタッフの管理が行き届いた空間で調査が行われます。このため、機密性が高い点が特長です。そこで、市場投下前の商品や試作品、あるいは発表前のTVCM評価など秘匿性が高い内容でも頻繁に実施されます。

会場調査を実施する手順

会場調査は、実査(調査を実施すること)だけでなく、リクルートや調査会場の確保といった事前準備も重要です。準備から集計・分析まで、会場調査を実施する手順を紹介します。

対象者をリクルートする(プレリクルート/ストリートキャッチ)

調査対象者のリクルート(選定)を行います。リクルート方法には主に2つあり、一つが、WEBモニターや機縁法など活用してあらかじめ対象条件に合致した人を選定する方法で、プレリクルート、事前リクルートなどと呼ばれています。もう一つが、調査会場周辺で通行人に声をかけて、その場で呼び込む方法でストリートキャッチと呼ばれています。
プレリクルート(事前リクルート)の場合は決め細かな条件を設定する場合に有効的です。また、ストリートキャッチの場合、事前にリクルートをする手間が省くことができますが、実施地域によって属性の出現率が違ってきます。若者が多いエリア、主婦が多いエリアなどの地域特性があるので、調査対象者の属性を考慮しつつ、エリアを選定することも大事です。

調査会場・物品を確保する

調査会場は事前に確保しなければなりません。会場を予約して状況を随時確認しながら日程を調整することが必要です。調査会場を選ぶ際は、仮押さえが可能なところを選ぶことをおすすめします。また、大型の棚が入るかどうか、飲食は可能かどうかなど、会場の大きさや条件も調べておくことが重要です。

調査対象者に対する謝礼も用意が必要です。拘束時間や難易度によって謝礼も異なりますので、事前に調査会社と相談し相場を確かめて、内容を決めるのがよいでしょう。

調査項目を整理する

次に、調査項目の整理を行います。まず必要なのは、調査目的に沿った内容で質問票を作成する作業です。併せて、自記式と他記式のどちらで調査するのかも想定し、時間配分まで考慮して実査の流れを検討します。さらに、調査票のレイアウトを調整します。iPadなどの端末を使う場合は、画面設計の後に動作チェックまで行い、問題がないか確認が必要です。特に調査票の設計は、意図したとおりの回答が得られるかは、設問順や聞き方などが重要となりますので、専門家の意見を参考することをおすすめします。

集計・分析を行う

実査の後、調査結果を集計しレポーティングを行います。集計を考慮すると、iPadなどの端末を利用して実査を行えば後から入力する作業を省くことができるので便利です。

会場調査で高い成果を得るためのポイント

会場調査の特性を活かし、高い成果を得るためのポイントを3つ解説します。

調査テーマに合う環境をセットする

会場調査では、調査テーマに合う環境をセットすることが重要です。例えば、陳列棚の中での見え方を評価するテストなら、商品棚が用意されている調査会場を選んだり、会場の照明・温度・音響などを調節し、調査テーマに最適な環境に整えたりすることで、より実態に近い調査結果が得られます。

他の手法と組み合わせる

会場調査は、記入式アンケートで実施することが多いです。これは定量調査になりますが、内容をさらに掘り下げて質的な要因を分析したいという場合は、定性調査も併せて実施することが可能です。

例えば、メインの会場とは別にインタビュールームを用意し、デプスインタビューやグループインタビューといった定性調査を併用します。会場調査では「朝起きたばかりで飲む飲料Aの味」、「日用品Bを長期間継続した場合の感想」など、実際の利用シーンや心理面なども把握することができます。

専門性の高い調査会社を活用する

調査手法が豊富で、調査実務に長けている調査専門会社を活用することも大切なポイントです。会場調査の一例として、業界でカークリニック、自動車クリニックなどと呼ばれている調査があります。これはホールのような大きな会場を借りて、実際に車(あるいはモック)を展示してアンケートを実施する調査です。大掛かりなだけでなく、発売前(開発段階)に実施されるケースが多く、秘匿性の高い特殊な調査です。特にこのような場合は、実査に長けている調査会社の選定が不可欠となります。

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まとめ

会場調査は、試飲・試食やパッケージ評価など、さまざまな目的で活用できます。統一された条件と調査専門スタッフの管理のもとでテストが行われることから、正確な調査ができ、実際に商品・サービスを試して評価してもらいたい場合や、機密性を保持したい場合に適しています。また、調査に必要な設備を用意し、必要に応じてインタビューなど他の手法と組み合わせることで、高い成果を得ることができます。

当社マーケティングリサーチサービスは、JR大塚駅から徒歩2分の立地に自社会場を保有しています。約200㎡のアンケートスペースで100人規模の大規模なアンケートやインタビューを行えるだけでなく、陳列棚、冷蔵ショーケース、IH調理器など、調査に必要な充実した資材を活用した味覚評価やパッケージテストの実施も可能です。iPadの端末も利用できます。また、調査発注側が会場に来られない場合でも、会場テスト後に対象者に直接インタビューを実施できる体制も整っています。会場調査の実施を検討する際は、ぜひ当社にお問い合わせください。(弊社の会場の詳細はこちら)

(digmar 編集部)