<リサーチ相談室>Vol.1 新規事業開発のための「見誤らない」リサーチの考え方とは?

市場調査・マーケティングリサーチや商品企画を担当されている方は、日々多くの悩みを抱えながらもなかなかご相談できる先がない、というお声をよく聞きます。そうしたさまざまな課題をお持ちの方のお悩みに対し、マーケティングリサーチにおいて数多くの企業を支援してきた弊社マーケティング・リサーチ・サービスが、「リサーチ相談室」と題し、テーマ毎に解説していきます。

第1回は、近年さまざまな企業で取り組みが進んでいる「新規事業開発」について、新たな商品・サービスを生み出すために気をつけるべきポイントや必要なことを今までの知見から解説します。

相談者(ペルソナ)

プロフィール:
勤務先 食品メーカー(健康食品・機能性表示食品等)
部署  商品企画部 
年齢  30代
性別  男性

業務内容:
新卒で入社後ドラッグストア向けの家庭用食品の営業として5年勤務した後、販促部を経て2年前に商品企画部に配属、「新規事業開発」の任務が与えられた。

お悩み内容:
健康食品・機能性表示食品を中心に提供してきたが、多様化する現代ならではの健康課題に対して、より多岐に渡るサービス提供や新たな形態の顧客接点を生み出す必要性が会社内で上がっている。今までの開発技術を用いた新機軸の商品だけでなく、店舗業態やサービス業なども問わず選択肢が与えられており、どのような領域に注力をしていけば良いかの選択・判断が難しい。

増加する「新規事業開発」ニーズと、成功のためにまず不可欠なこと

海外からの参入や競合社の攻勢で閉塞的になってきた自社の現事業構造を打開するため、多くの企業が「新規事業」への参入を目論み、自社内に関連部署を立ち上げています。

しかし既存の市場で大きな成功をおさめ、潤沢な利益を上げている会社でも、プロジェクトを進める決断に至れないケースが多いと聞きます。実際、新規事業開発は難しく、その失敗例は枚挙にいとまがありません。

弊社マーケティング・リサーチ・サービスでは、多分野の企業と行ったプロジェクトの経験を踏まえ、クライアント企業が持っておられる事業コンセプト仮説について、リサーチによって裏づけされる丁寧なアプローチで検証を行います。プロジェクトの立ち上げから商品やサービスの上市に渡る様々なフェーズのご相談をお受けしています。

「新規事業開発」には、その企業のコアコンピタンスや人的資源、また企業文化の共有が不可欠なので、プロジェクトの初期には充分な時間を頂戴しご説明頂くことを、我々では特に重要視しております。「何がわかったら次に進めるのか」が議論できなければ、良いリサーチができないからです。

新規事業開発向けリサーチの考え方

社会構造の変化や技術革新は、実はイノベーションが自然発生的に起きるチャンスにあふれています。ここに気づけない企業は、既存事業のそもそもの枠組みが変わっていくことにも気づけずにいます。

まずは、自社の事業ドメインの周辺に何が起きているのかを調べることが重要です。

今や、商品やサービスに関するユーザーのニーズは一通り充たされているので、消費者ニーズを基本とするマーケット・インのアプローチだけでは、強力な商品やサービスは提供できなくなっています。

新規事業開発を企図する企業は、技術革新などのダイナミックな動きやそれに伴う変化の中で競合を見据えながら、自社の持つ強み(技術資産、チャネル等)やそこからの発展領域なども考えつつ、プロダクト・アウト的な発想も持ちつつ事業仮説を立て、参入可否を判断する必要があります。

必要な情報

●自社のヒト、モノ、カネの棚卸

まずは自社の商品・サービスとそれが属するカテゴリーについて整理するところからスタートします。得意分野の周辺で新規事業開発ができるに越したことはないからです。
自社の既存領域に付随して、自社が保有する技術や資産について整理していただくことが「強み」を作り出すために重要となります。

●参入市場の状況把握

参入しようとする市場に知見がない場合は、特有のサプライチェーンや商慣習などの壁に阻まれることがあります。参入市場を決めたら、市場のカギを握っているプレイヤー(供給者、販売者、使用者)から充分に情報を得ることが不可欠です。

●ユーザーの状況

生活環境変化・価値観の変化など使用者の変化は、新規参入者にとって大きなチャンスとなるので、多角的にアプローチし事業の核となる概念を抽出しなくてはなりません。

市場に投入しようとする商品やサービスについて「ブランドの重要性」「商品ライフサイクル」 「補完財」などユーザー実態を把握し、どこにエネルギーを投資すべきかを覚悟しておくことも重要です。

また、実は数多くの小さなイノベーションが使用者の「必要」に導かれ発生している(医療分野でのイノベーション事例が多い理由)のに、ユーザーのニーズは本人たちも意識することができずに埋もれていることがあります。

自社で扱える領域でのユーザー・イノベーションの実態は、イノベーティブな商品やサービスを生み出すために大いに参考になります。

リサーチに関する留意点

ユーザーが自発的に語るニーズに対応するものは概ね既に存在するため、既存の価値観から解放された意見が出るようなリサーチ設計や「刺激」を与えて発想させるような工夫が不可欠となります。

開発した商品・サービスのパフォーマンスについては、既存事業におけるリサーチと同様に「本当に買われるレベルのものか、どんな代替品と比較されるか」といった視点も重要です。

弊社で取り組んできた課題(例)

新規事業には、発想力と同時に、既存の資産とのシナジーを生かす合理的思考の両方が必要であるため、弊社では以下のようなアプローチをお勧めしています。

①クライアント企業の保有資産・技術の棚卸
②クライアント企業の商品・サービスがおかれる市場・カテゴリーの整理
③市場の変化(環境変化、価値観の変化、人の変化、生活の変化)を把握
④想像される未来(技術革新・画期的な発明・イノベーション)を描出

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●新規事業のコンセプト開発(仮説構築、自社が取り組む必然性)
●参入市場・カテゴリーの探索(事業仮説の検証・ポジショニング課題)
●ニーズの把握・創出(市場・カテゴリー・ユーザーの背景との因果関係)
●自社が作るべき商品・サービスの仕様
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技術シーズから参入市場を検討するワークショップ
市場の各種プレイヤーへのインタビュー実施
事業コンセプトの構築サポート
事業コンセプトの市場性確認
コミュニケーションターゲットや方向性の確認 など

まずはご相談を

新規事業開発を成功させるには、既存事業を持つ優位性や特長を把握した上で、市場のプレイヤー、ユーザーニーズを丁寧に見つめ、アイディアを創出する必要があります。
言葉にすると簡単ですが、既存事業での進め方に囚われたり、順序を誤ってしまうなど、成功の障壁になる部分が多々あります。
そうした障壁を乗り越え、正しい道筋でイノベーションを生み出すため、専門のリサーチサービスを提供しています。第三者とのアウトプットを繰り返す中で自社のコンディションや課題が整理できますので、まずはお気軽に資料請求やご相談ください。

また、本件は弊社ホームページに掲載している内容をカスタマイズしております。また、他の施策についても掲載しております。ホームページの方も併せてご確認ください。(ホームページはこちら

(digmar編集部)