クラフトボスから変化球?抹茶ラテがコロナ禍にマッチ

2021年8月17日にサントリーのクラフトボスシリーズから「抹茶ラテ」が発売されました。抹茶の濃厚さと飲み飽きない爽やかさを両立し、発売前のSNSキャンペーンなどでも話題に。抹茶ラテがトレンドとなっている理由に加え、なぜクラフトボスシリーズから発売されたのかについてうかがいました。

お話をうかがった方

サントリー食品インターナショナル株式会社
ブランド開発事業部
大槻 拓海 氏

抹茶ラテ開発から数年。クラフトボスから発売した理由

▲クラフトボスシリーズの新商品「抹茶ラテ」は石臼挽き抹茶と国産牛乳の濃厚な味わい
ほっと一息つきたい「憩いのひととき」のお供として開発された

現在、抹茶ラテはトレンドになっていますね。今回の商品の開発背景についてお聞かせください。

数年前より抹茶ラテの可能性は感じていて、中身の開発は進めていました。コロナ禍での生活者の変化を踏まえて、働く方への憩いを提供したいと考え、2021年の初め頃にクラフトボスシリーズから商品化し発売する方向で動き出しました。

抹茶ラテに感じる可能性とは、どのような点でしょうか?

ひとつは、ミルク飲料の新しいカテゴリとなり得るのでは、という点です。当社の推計では、コーヒー・紅茶カテゴリーにおいては、ミルク入り飲料が構成比の半数以上を占めます。それだけの大票田ですから、以前から新たな一手で新風を吹き込み、さらなる需要を掘り起こせないかと模索していました。そこで注目したのが抹茶ラテです。また、国内の抹茶生産量は2014年と比べると2019年では1.8倍となっており、抹茶市場はインバウンド需要もあり伸長傾向にあります。抹茶ラテにおいては、カフェの定番メニューとしても定着しつつあることからも、大きなポテンシャルを秘めていると判断しました。

▲クラフトボスシリーズは2017年に誕生。缶コーヒーで親しまれていた「BOSS」の新ブランドとしてペットボトル入りコーヒーが発売

このタイミングでクラフトボスシリーズから発売した理由はなぜでしょう?

ここ数年はコロナ禍で仕事のスタイルが変化する中、自宅でリモートワークをする生活者も多く、非常にストレスを抱えやすい状況にあります。そうした方々への小休止を提供したいと考えたときに、抹茶ラテを味わったときの安心感は非常にマッチすると感じました。働く方たちに寄り添うという意味ではクラフトボスシリーズの既定路線であり、既存商品であるコーヒーや紅茶のサブカテゴリーとしてうまく機能するのでは、という仮説もありましたね。

抹茶やミルクの味わいはホッとします。抹茶ラテは、新しいのに馴染み深いというのがポイントなんですね。

クラフトボスシリーズだけでみると無糖やミルクなしの商品が過半数を占めており、市場の構成比と差があったため、ミルク入り飲料にもチャンスがある、と考えていたのも大きな理由です。抹茶ラテをどういう形で発売するかは、かなり議論をおこないました。

クラフトボスシリーズのターゲットは働く世代ですが、抹茶ラテはどのような層を狙っていますか?

20〜30代の女性をメインターゲットとしつつも、若年層にも需要がある商品だと捉えています。需要を駆り立てるペットボトルで手に届きやすい価格で販売することで、幅広い層にリーチし、新しくペットボトル入り抹茶ラテというカテゴリを確立しようという気概でいます。

濃厚さと爽やかさを両立しクラフトボスらしい味わいに

開発で苦労された点をうかがえますか?

クラフトボスシリーズから出すなら、ブランドらしさを保たなればなりません。抹茶の濃厚さやミルク飲料らしい甘みと、500mlのペットボトルでも飲み続けられるクラフトボスらしい爽やかさ、相反する要素を両立させるのには一番頭を悩ませました。

濃厚さと爽やかさの両立。確かにパッと聞くと、矛盾しているように聞こえます。

開発者には無茶をお願いしたなぁと思います。ただ、抹茶は使えば使うほど濃く重たくなってしまうわけではなく、複数の国産抹茶をブレンドさせると、深いコクを持ちながら、あと残りしない爽やかでキレのある味わいに仕上がります。細かい話になりますが、社内で商品の濃さを表す指標がありまして、抹茶ラテはクラフトシリーズの中で一番濃いといってもいいくらいなんです。

濃厚さを活かしたまま、爽やかなキレを作り上げたのは開発者の腕というわけですね。

そのこだわりがクラフトボスらしさであり、他社との差別化に繋がっていますね。また、ブレンドした抹茶のベースに、石臼挽きの国産抹茶を使っているのもポイントです。仕入れや価格設定などを考えて通常はたくさん使える素材ではないのですが、クラフトらしいこだわりをということで、使用することにしました。最終的にすごい中身ができたかなと自信を持っています。ペットボトルの底を見ていただけるとわかるのですが、底に抹茶が溜まっているんですよ。

「よく振って飲んでください」と書いてありますね。購入者もたっぷり抹茶使ってるんだと実感できそうです。

見栄えとしてどうかという話もある一方で、近年発売されているお茶商品の傾向として、底に溜まった茶葉をポジティブに捉えるお客さまが多いこともわかっていたので、そのまま残しました。

発売前のサンプルを配布されたときのお客さまの反応はいかがでしたか?

抹茶ラテ自体にミルク入りの甘い飲み物といういイメージがあり、「自分が飲むような飲み物じゃない」「なかなか飲みきれなさそう」と感じていらっしゃるお客さまも多かったのですが、実際に試飲していただいた際に、「この抹茶ラテなら飲める」と仰っていただけました。元々はコーヒーや紅茶を手に取っていた方に対しても、飲み慣れているクラフトボスということで手に取っていただけて、新しい抹茶ラテの選択肢がご提供できたと感じています。

近年はコーヒーの飲み疲れをされている方も一定数見受けられます。働いている時の傍らにコーヒーや紅茶があるとすれば、一息つくような憩いのひとときは抹茶ラテを選んでいただくのも良いかなと思っています。

キャンペーンは過去最高の反響。Twitterトレンドにも

▲クラフトボスシリーズから抹茶ラテの発売は、衝撃か待望か?のTwitterアンケートを実施。結果により、WebCMが制作される

SNSなどでの反響も大きかったとうかがいました。

抹茶ブームや他社商品の出現もあり注目度は高いだろうなと予想はしていましたが、想像以上でした。クラフトボスシリーズは新商品が出ると、都度Twitterキャンペーンをおこなっているのですが、今回は応募者数34万件超と過去最高を記録しました。「#クラフトボスから抹茶ラテ新登場」が一時トレンド入りし、「楽しみ」「絶対おいしい」などの嬉しいお声もいただきました。

加えて、キャンペーンの際に同シリーズから抹茶ラテが発売されることに「衝撃か?」「待望か?」を問うアンケートも実施しまして、6割以上が「待望」とお声をいただきました。発売前から心待ちにしていただいているお客さまが多いということで、我々としては嬉しい結果です。そして、その結果を反映したCMを制作しました。秋からにかけても色々と企画を検討中ですので、楽しみにしていてください。

SNSでいうと発売後はアレンジレシピを実践する方もいそうですね。抹茶ラテはホットも展開できそうですが、発売の予定はありますか?

ホットにすると当然風味なども変わってきますので、今回の商品はコールド専用となっています。議論はしているので、チャンスがあればぜひチャレンジしたいと思っています。

今後の展開も楽しみにしています。ありがとうございました。

※この記事はクックパッド株式会社が運営する「FoodClip」からの転載記事です。