『だけ商品』(商品の一部分だけを売る)

新商品の開発は、マーケターに与えられた重要なミッションですが、新商品の受容可能性を考える前に、自社資産の棚卸をしてみるのは、いかがでしょうか。

最近、自社商品の「一部分」を取り出して販売していることが、弊社でも話題になりました。

先輩A

ねえ、井村屋さんが豚まんの皮だけを販売してるの知ってる?

後輩B

あっ、それ、気になっていました。「すまん」ですよね。

先輩A

そうそう、皮だけを売ってるらしいの。

後輩B

 私、ほしいです。あの皮、おいしいけど、豚まんを買わないと食べられないじゃないですか。

先輩A

豚まんで食べるだけじゃだめなの?

後輩B

カレーを挟んだり、焼き豚を挟んだり、パンの代わりに食べたいです。

ああ、中華レストランであの生地でトンポーローを挟んで食べたりするよね~。
なるほど、違うものと組み合わせたい、という潜在ニーズがあったってことか。

後輩B

その発想でいくと、ビアードパパのシュー生地だけというのも気になりますね。

先輩A

あーそれは、私、すごくほしい。
最中の生地と餡を別に売られているのを見た時から、シュークリームもできたらそうしてほしい、ってずっと思ってたから。
でも、まさかシューだけ売ってくれると思わなかった。

後輩B

皮がカリカリしたままで食べられるってことですね。
でも、シューにクリーム以外の何を入れますか?

先輩A

まずは、無難にお気に入りのアイスクリームとか。アップルパイの中身にするリンゴとか。
ちょっと待って。ハムとレタス、クリームチーズなんてのも、おいしそうじゃない?

後輩B

デニッシュ生地のサンドイッチみたいですね。
調べてみたら、かっぱ寿司さんの、お寿司のシャリだけ、とか、一風堂さんのラーメンのスープだけ(缶で販売)など、色々な『だけ商品』が立て続けに発売され、話題になっていますね。

先輩A

味を変えたり、形を変えたり、何かをつけ足したり、というのが商品のエクステンション戦略の定石だったけど、ここに”一部だけ売る”という新製品のアイデアが隠れていたってことよね。

後輩B

そういうの既に結構ある気がします。美容院の前髪カットだけとか、顔そりだけとかも考えたらそうですよね。

先輩A

そうね、サービス財の場合は、申し訳なくて、それだけの消費はしにくいんだけど・・・。
あ、お蕎麦屋さんの「あげ玉」とかもよく考えたら、『だけ商品』?

後輩B

「あげ玉」の場合なんかは、捨ててしまうなら売ってみよう、と、「廃棄」が動機にあったんでしょうね。

先輩A

そうか、お豆腐屋さんの卯の花(おから)も。
そう考えたら、日本の古くからの食品業では、捨てるのはもったいない → 商品に、というのをうまくやっていたのね。その発想も『だけ商品』にできそうだね。
ところで何か欲しいものある?

後輩B

タイ焼きの皮だけ、とか良くないですか?ツナマヨとか詰めてみたいです。

先輩A

形は鯛なのに中身はマグロ・・・笑。
でもそういうのが楽しいのかもね。

リサーチャーの目

「だけ商品」は、ロングセラーブランドの部分売りに限ったものではなく、新商品開発の手段として応用範囲は広そうです。売れていない商品を見つめ、思い切って部分だけを取り出すことで、消費者に思わぬ効用をもたらすこともありそうです。

手間のかかる商品の一部分を取り出して商品にしてきた事例は過去にもあったと思います。しかし、ここにきて注目されているのは、なぜでしょうか。ひょっとして「コロナ禍」生活を経験した意識変化の影響かもしれない、と考えてみたら、これは一つのムーブメントにも思えてきます。
商品開発の視点で見ると、「どこが受けたのか」と仮説を立てるのも面白いです。
○○だけ商品、という話題の提供(SNSなどでシェア)?、「ちょっとしたオリジナリティ」という頃合いの良い加工度?、大事な部分は「なじみの品質」という安心感?、などというように。
気になる方、一緒に調べてみませんか?

(digmar編集部)