メニューセンサスコラム 米の消費量は伸びている?
海外に出掛けて、「帰ったら食べたい!」と思うものはなんですか。
秋になり「新」が付くと食べたくなるものはなんですか。
忙しいけれど食べるお昼休みのお供はなんですか。
運動会や遠足のお母さんのお弁当で思い出すのはなんですか。
日本人のソウルフードといえば、ごはんです。
先日帰還された宇宙飛行士の金井宣茂さんの、「まず食べたいものは」、という質問の答えは、「白いごはん、お味噌汁」でした。
宇宙で半年作業した末に恋しくなるのは、ごはん。
海外旅行から帰ってきて恋しくなるのも、ごはん。
パンや麺類の食事が続くと、やっぱり、ごはんが食べたくなります。
しかし、農林水産省のデータによると、昭和37年をピークに米消費量は一貫して減少傾向にあり、平成28年時点でピーク時の半分以下まで落ち込んでいます。
本当に“お米、ごはん”は減っているのか?
『MRSメニューセンサス』で、家庭内で食べられた「米・餅料理合計」の出現回数をみてみると、ピークは1980年代後半で、現在はその頃の約8割と、やはり大きく落ち込んでいました(あくまで回数なので、消費量までは捉えられません)。そんな中、出現回数が伸びている“ごはん”がありました。
これは加工されたお米の製品、つまり冷食のチャーハンやおにぎり、出来合いのおにぎり、持ち帰り寿司や持ち帰り弁当などの出現回数を足し上げたものですが、調査当初と比べて3倍以上に伸びています。
加工された米製品の回数はまだまだ少ないので、家で炊くお米の減少分を補うには及びませんが、今後も緩やかながら伸びていくものと思われます。
「冷食おにぎり」は「末子未就学」の世帯、次いで「末子小学生」など小さな子供がいる世帯で多く利用されていることがわかります。
「出来合いおにぎり」の場合は比較的各層でまんべんなく利用されているという違いがあります。そして出来合いのお寿司になると、「夫婦のみ」や「夫婦と子供(末子大学生以上)」の世帯で多いという特徴がみてとれます。
社内調査をしてみたところ、実際、未就学児の子育て世帯では“子育てが始まってから冷食焼きおにぎりは常備品になった”という声が多く聞かれました。シーンとしては忙しい朝食時などが多いそうです。パン食の用意をしてあるのに、子供が急に“ごはんが食べたい、おにぎりなら食べる”と言いだした時など・・。1分ですぐ食べられる利便性のほかにも、“海苔を噛み切らなくていいので離乳食終わりの幼児食として使える、手で持ってもごはんが手に付かない”などの利点があるそうです。
またDINKS世帯では“夕食の準備をするのが面倒な時や時間がない時など、頻繁に持ち帰りずしを買っている”という声がありました。
“お惣菜を複数買ったりチンするごはんを使ったりするのは気が引けるが寿司なら後ろめたさもない、味噌汁だけ用意すればよい、おかずを用意しなくてよい、しかも後片付けもラクだから”とのことでした。
いずれも、加工米製品の利用が多いことが腑に落ちる意見ばかりでした。お米は食べたい・食べさせたいけど、家で炊いていられない・炊きたくない、という状況が増える中、冷食や中食があるからこそお米のごはんを口にすることができている、といえると思います。
同じように、例えば「近年家庭で食べられなくなってきているけど、本当は食べたいメニュー」に気づくことができたら、新しい商品やサービスを開発することができるのではないでしょうか。
『メニューセンサス』では、40年に渡って蓄積したデータを複数の角度から分析することができます。貴社の新商品開発、あるいは既存商品のリアルなターゲット発見、新たなコミュニケーションのツボ発見など、私たちがお手伝いします。