パッケージ調査とは?目的や手法を解説

新製品の開発やリニューアルを行う際には、新たなパッケージを決定する必要があります。パッケージデザインは、消費者の購買行動に大きな影響を与える重要な要素です。

しかし、メーカーの視点だけでパッケージを決定すると、消費者のニーズや意見が十分に反映されない場合があります。どれほど優れた商品であっても、パッケージが魅力的でなければ消費者に手に取られることはなく、購入にはつながりません。

そこで活用されるのが「パッケージ調査/パッケージテスト」(パッケージデザイン調査)です。パッケージ調査/パッケージテストは、消費者の意見をくみ取り、パッケージに生かすことを目的とした調査です。

この記事では、パッケージ調査/パッケージテストの概要や目的、手法について解説します。

パッケージ調査とは

パッケージ調査とは、製品のパッケージデザインに対する消費者のイメージや評価を調査する手法です。新商品開発やパッケージデザインのリニューアル時に、複数の候補案がある場合に実施されることが多く、最終的なデザインを決定するための重要なステップとなります。

また、パッケージ調査は、消費者の意見を反映しながらパッケージを決定するために欠かせないものです。メーカーがよいと考えるデザインであっても、消費者に選ばれなければ、商品開発やリニューアルの成功にはつながりません。
こうしたメーカー側と消費者側の認識のズレを解消するために、パッケージ調査が活用されるのです。

パッケージ調査では、例えば、調査対象者に複数のパッケージ案(A案、B案、C案など)を見てもらい、それぞれの案について以下の点などを評価してもらいます。
● 購買意欲を引き出す力
● 店頭での目立ちやすさ
● デザインが商品の機能や特性を適切に伝えているか など
こうして得られたデータを基に、どの案が最も効果的かを判断し、最適なパッケージを選びます。

パッケージ調査の結果は、製品の販売促進に直結する重要な情報として、デザインの修正や最適化に活かされます。また、競合他社との差別化ポイントを見つけたり、ブランドの一貫性を強化する手段としても活用されます。

パッケージ調査の目的

「社内で十分にパッケージのデザインを吟味したから、調査は必要ない」と考える方もいるかもしれません。しかし、顧客の意見を取り入れずにデザインを決定すると、客観的な視点が不足し、意図した結果を得られないことがあります。

パッケージデザインは、商品やサービスの「顔」としての役割を担い、メーカーと消費者をつなぐ重要なコミュニケーションツールです。消費者に受け入れられるデザインかどうかを確認せずに市場に商品やサービスを投入することは、大きなリスクを伴います。

まず、本章ではパッケージ調査を実施する主な目的5つを紹介します。

消費者の視覚的な反応の確認

パッケージ調査には、視覚的要素が消費者にどのような印象を与えるのかを確認する目的があります。

例えば、
● パッケージの色使いが適切か
● 文字のフォントが適切か
● 消費者に認知されやすいパッケージの形状やサイズであるか
● 画像やレイアウトが的確に特長や機能を伝えているか

といった点を確認します。

こうした反応を把握し、ターゲット層にとって魅力的かつ購入意欲を引き出せるパッケージ作りに役立てます。

ブランド認識とロゴの印象の確認

パッケージを通じて、ブランドの世界観やイメージが一貫して消費者に伝わっているかを確認する目的もあります。

例えば、パッケージが適切でないと、
● 高級チョコレートブランドとしてのリブランディングを目指していたが、従来のポップなパッケージのまま販売したがために、プレミアム感のあるブランドイメージを出せなかった
● ロゴをより洗練されたものに一新するつもりが、不必要な変更を予告なく行ったことにより、長年顧客に親しまれてきたブランドイメージが損なわれてしまった
といった問題が発生することがあります。

こうした事態を防ぐためにパッケージ調査を通じて、自社のブランドやロゴのアイデンティティが顧客に適切に伝わっているかを確認し、ズレを修正します。

購入に対する影響の評価

パッケージ調査には、パッケージが消費者の購買意欲をどの程度引き出せるかを評価する目的もあります。

例えば、新商品の場合、パッケージ調査を通じて「どれくらい購入したいと思うか」を市場投入前に分析できます。
一方、リニューアル商品では、以前のデザインと比較して購入意向がどの程度向上したかを測定することが可能です。

先述のように、メーカー側だけの判断で市場に投入すると、パッケージが消費者に受け入れられず、結果的に失敗するリスクがあります。そのため、市場投入前に新しいパッケージを評価し、改善点を把握することが、新商品やリニューアル商品の成功にとって欠かせません。パッケージ調査は、その成功を支える重要なプロセスです。

競合製品との比較

パッケージ調査には、競合製品と比較して自社製品がどれだけ優位性を持っているかを調べる目的もあります。

市場では、自社製品が競合製品と並んで比較される場面が多いです。そのため、自社製品のパッケージ案と競合製品を同じ場所に並べて、差別化要素や優位性が発揮されているかを確認します。

調査では、
● 商品を手に取った順番
● 購入を決めた製品は何か(逆に手に取らなかった製品は何か)
● 店頭での目立ち度
などを分析します。

これにより、自社製品が競合と比較して優位性や独自性を発揮しているかを確認します。

消費者のニーズとの適合性の確認

パッケージが、商品の利用シーンや利便性を正しく伝えているかを測る目的もあります。また、原材料や使用方法などの商品情報や、商品の機能的な部分が消費者に適切に伝わっているかを確認する狙いもあります。

例えば、食品の場合、
● 調理が簡単ですぐに食べることができそう
● 素材がよさそうで安心
● おいしそうに見える
● 蓋が簡単に開閉できそう
といった印象をヒアリングします。

これを通じて、製品の特長が消費者ニーズと一致しているかを確認し、最適なパッケージデザイン作りに活かします。

パッケージ調査の手法

パッケージ調査には、いくつかの方法があります。従来は会場調査やWeb調査が主流でしたが、最近ではAIを活用した方法で調査されることも増えています。

ここでは、主な手法についてそれぞれ解説します。

会場調査

会場調査は、調査対象者を指定の会場に集めて実施する方法で、パッケージ調査で最も一般的な手法です。実物を提示できるため精度が高く、秘匿性も高いため、パッケージ調査ではよく利用される調査方法です。

具体的には、店頭を再現したような環境を作り、自社製品や競合製品を並べます。調査対象者には実際に商品を手に取ってもらい、視認性や購入意向についてアンケートで評価します。

>>参考:会場調査(CLT)の手法やメリットとは?活用方法や成功ポイントも解説

Web調査(インターネット調査)

Web調査は、インターネットを通じてパッケージ案を評価する手法で、近年広く利用されています。具体的には、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの商品棚をWeb上で再現し、購入意向やデザインの印象をアンケート形式で調査します。

会場調査と異なり、対象者を特定の場所に集める必要がないため、低コストかつ迅速に実施できるのが大きなメリットです。商品画像を拡大して見ることができたり、説明文を読んだりといったことも可能なため、Web上ながらも商品をイメージしながら調査をすることができます。

一方で、実際には現物を手に取れないため、回答の精度が会場調査に比べて劣ることが課題といえます。よって、その点も考慮して調査手法を選択する必要があります。

AI技術の利用した調査方法

AI技術を活用したパッケージ調査も、徐々に普及しています。AIに膨大な消費者データを学習させ、それを基にしてパッケージ案を分析する方法です。

例えば、AI調査の1つに「視線シミュレーションAI」があります。写真や動画をアップロードするだけで、画像内で注視しやすい箇所をヒートマップで出力したり、視線を向ける順番を分析したりできます。

AIによるパッケージ調査のメリットは、どこに視線が向けられているか手軽にわかることです。一方で、調査対象者の意識や考えを引き出すことはできないので、会場調査やWEB調査と併せて実施することをお勧めします。

>>参考 : 視線シミュレーションAI

まとめ

パッケージ調査の結果は、見た目や使い勝手が消費者に最も響くパッケージデザインを見つけることで、企業の売上やブランド力を向上させることが期待できます。
もしパッケージ調査についてご相談やご質問などございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。