インターネット調査で失敗しないためのポイントを解説!具体的な実施手順も紹介
昨今では、Google Formsなどの無料アンケートツールを利用して、誰でも手軽にWeb上でインターネット調査を実施できるようになりました。しかし、一見簡単に思われるインターネット調査ですが、実際は専門性が求められるなど、単純に進めるだけでは成功しづらいケースが多いです。
そこでこの記事では、インターネット調査で失敗しないためのポイントや実施手順などを、プロの調査会社が解説します。インターネット調査の実施を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
インターネット調査のメリット
インターネット調査を実施するにあたり、どのような特徴があるか説明していきます。
低コストで実施できる
インターネット調査の最大の特徴は、他の調査手法と比べて低コストで調査を実施できる点です。調査会社が保有するモニターを活用して、自社で設問や分析などを行う「セルフ型リサーチ」の場合、数万円から実施可能です。
調査費用が低価格なことから、他の調査手法と比較しても手軽に実施できる方法といえます。よって、インターネット調査は手始めに実施する調査手法として選ばれているのです。
大量のサンプルに対して実施できる
インターネット調査は、回答者にとって手軽に参加できる手法であり、他の調査手法と比較しても、大量のサンプルに対して調査を実施できるメリットがあります。
通常、調査会社は数十万から数百万人のモニターを保有しているため、大規模なサンプルを対象にした調査が可能です。
サンプルの対象は全国規模まで広がっているため、多様な属性の母集団に対して調査を展開することができます。
また、さまざまなセグメントに対して調査を実施することができ、条件を設定すれば、自社がターゲットとする特定の対象者に絞って実施することも可能です。
調査と回収のスピードが速い
インターネット調査はWeb上で配信・回答できるほか、最近のシステムでは回答データを簡易的に集計できるようになっています。郵便調査や街頭調査などと比較しても、調査開始から回収までのスピードが速いため、迅速に調査を行いたい場合などに最適です。
市場のトレンドや顧客の嗜好は、驚くほどの速さで変化しています。マーケティングのPDCAサイクルをスピーディーに回すためにも、インターネット調査は非常に有効な調査手段です。
インターネット調査のデメリット
インターネット調査は低コストかつ大量のサンプルに対して迅速に調査を実施できるメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットもあります。
- 回答者の顔が見えないため、不正確な回答や信頼性に欠ける回答が増える
- インターネット環境に馴染みのない高齢者層への調査が難しい
- 回答者からの回答を深く掘り下げられない
こうしたデメリットを補うために、インターネット調査の回答者の中から数人をピックアップして、インタビュー調査などの定性調査を実施するケースもあります。
インターネット調査の手順と失敗しないためのポイントを解説
簡単に実施できそうなインターネット調査ですが、実際は専門性が求められる領域であるため、無闇に行うと失敗してしまいかねません。そのため、失敗しないためのインターネット調査のポイントを、実施手順に沿って解説します。
①調査の企画・設計
インターネット調査に限らず、調査には企画・設計が非常に重要です。この段階では、調査目的と調査課題の2点を明確にします。
- 調査目的…何のためにアンケートを実施するのか
- 調査課題…どのような情報を得る必要があるのか、アンケートによって明らかにすべき事項
インターネット調査を始める際は、まず調査目的と調査課題を明らかにすることが重要です。その2つが明確になると、回答分析の精度が向上します。
さらにこのとき、対象者の「出現率」を考慮する必要があります。出現率とは、対象条件に合致するサンプルが母集団内でどの程度の割合を占めているかを示すものです。
出現率が低いと調査が成り立たないことがあるため、注意が必要です。
もし出現率が低くなりそうな場合や、出現率に不安を感じる場合は、事前に調査会社に相談することをおすすめします。
場合によっては、対象者が現れる比率を調査する「出現率調査」を事前に実施することで、「アンケートを配信したが必要数の回収ができなかった」といった失敗を防ぐことができます。
②調査票の作成
次に、調査票を作成します。調査票とは設問を設計したもので、いわば「アンケート用紙」のことです。
①で設計した調査目的・調査課題をもとに、まずは仮説を構築します。構築した仮説に沿って設問を設計すると、回答分析の精度は十分に高められます。
また、調査票を作成する際は次の点を意識してください。
- 設問ボリュームを考慮する
- 簡潔な(伝わりやすい)設問文にする
- 分岐質問や表示制限などを有効に活用する など
設問があまりにも長かったり、難しい内容が続いたりしてしまうと、回答者が飽きて不良回答が増えてしまいます。そのため、設問は適切な量と内容のバランスを考慮して設計することが重要です。どうしてもボリュームを抑えることができない場合には、ダミー設問を設定し、いい加減な回答者を除外する、あるいは、一度止めても途中から再度できるなどの策を講じることが必要です。
また、設問文は専門用語を避け、平易で簡潔な文章にするのがポイントです。設問文がわかりにくいと、回答者が適当に回答してしまう可能性が高くなります。加えて、分岐質問などを活用することにより、回答者の負担を下げながらより詳細な回答データを得られるようにする工夫も有効です。
なお、調査票の作り方については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせて参考にしてみてください。
>>関連記事|アンケート調査の種類・方法・作り方を徹底解説!実例も交えて紹介
③テストの実施
調査票を作成したら、配信前に必ずアンケート画面のチェックをします。確認すべき主な内容は、次のとおりです。
- 誤字脱字がないか
- 分岐に間違いがないか
- 表示制限の内容は適切か
- 解釈がブレる設問内容がないか
- 設問文は簡潔で伝わりやすいか など
調査表の確認は、複数人の目を通して行うとより確実になります。また、その調査内容の分野に精通していない社員に確認してもらえば、専門用語や難解な表現によって伝わりにくい設問文をあぶり出しやすくなります。
どうしても設問文が長くなってしまう場合は、途中であえてダミー設問を設けるのも有効です。そうすることで、不良回答者を排除しやすくなります。
調査票を確認したあとは、テストの実施です。誤字脱字の有無や表示制限、分岐設定などをチェックします。
④実査
ここまでの工程を経て、ようやく実査を行います。まずは、スロー配信から始めることが一般的です。
スロー配信では、一度にすべての対象者へアンケート送信をするのではなく、サンプル数の一部に限定して配信します。そこで得られた回答結果をチェックし、内容に問題がないか確認します。もし問題がある場合は、設問内容などを見直し、適宜修正をしてください。
スロー配信を経て、設問内容に問題がないことが確認できたら、全部の配信を開始します。
(調査会社に依頼する場合は、このような形で進めて貰えますので、ご自身で気にする必要はございません。)
⑤回答の集計・分析
回答データを集計し、得られた回答結果をもとに集計・分析を行います。先述のとおり、最近のシステムの多くは回答を集計できる機能が備わっているため、平易に集計できます。
得られた回答を効率的に分析するには、集計の設計表を作成しておくことが重要です。実査が完了後、直ぐに作業できるように事前に作成しておくと良いです。
集計の設計表は、どのような集計軸を作るのか、またどの設問同士を組み合わせてクロスさせるかの表にしてまとめたものです。設問数が多い場合など少し複雑な時に作成するとスムーズに進めることができます。
⑥レポート作成
得られた回答と、調査表の作成時に設計した仮説を照らし合わせて、レポートにまとめます。作成したレポートをもとに、新規製品の開発や、既存製品の改良などを行います。
まとめ:インターネット調査は手軽に実施できるが本質を忘れずに
インターネット調査は低コストで大量のサンプルに対して実施できる調査方法であり、回収までのスピードが速いのも特徴です。さまざまな調査手段の中でも、手軽に実施できるのがインターネット調査の魅力であるため、誰でも簡単に実施できると思われがちです。
しかしながら、インターネット調査という手軽さに注目されてしまい、調査の企画・設計がないがしろになったり、設問内容が粗悪のまま進めることで、思うような結果が得られないケースも出てきます。手軽な調査手法ではあるが、本質を忘れないように注意が必要です。
弊社マーケティング・リサーチ・サービスでは精通した経験豊富なリサーチャーが多く在籍しています。何かご不明な点などございましたら、弊社までお気軽お問い合わせください。
(digmar編集部)