写真で観察!<後編>水回りの道具、どう置いていますか?洗面台・浴室編

洗面台・浴室フォトエスノ

写真から実態を把握して、仮説の抽出に役立てることができるかを考えていく「写真で観察!」。

前回は「キッチンのシンク周り」の写真を観察し、食器用洗剤の置き方や容器のタイプなどについて、写真から気づいたことや疑問点などをまとめてみました。

(前回の内容を確認したい方はこちら

今回は「洗面台」と「浴室」の事例について、主婦の方37人に送っていただいた写真をもとに「道具をどんな方法でどのように置いているのか」「使用している洗面台や浴室に対してどのような悩みを持っていそうか」といった観点で気づいたことや、疑問点などを挙げてみます。

洗面台 写真から見られた特徴

洗面台1
  • 洗面台にもともと歯ブラシ置きがついていたり、コップに歯ブラシを入れていたりといった人は少なかった。
  • 歯ブラシは洗面台のフチに、別売りのスタンドやハンガーを使って置いている人が多かった。
  • コップはスタンド等を使って逆さに置いている人は少なく、そのままシンクのフチに置いている人が多かった。
  • ハミガキ粉、ハンドソープ、洗顔料についても洗面台のフチにそのまま置いている人が多かった。
洗面台2
  • 鏡の裏に収納棚があるタイプの洗面台でも、一部の道具を収納せずにそのまま置いている人が一定数いた
  • 歯ブラシやハミガキなどのオーラルケア品、洗顔料、ハンドクリームを収納棚から出して置いているケースが多かった。
  • 道具を外に出して置いている人の中には、洗面台のフチのスペースが広くない人もいた。

浴室 写真から見られた特徴

浴室1
  • 浴室のカウンターやシャンプーなどのボトルの汚れが見られる人が多かった
  • シャンプーやボディーソープなどのボトルはカウンターに置いている人が多い
  • 網状のラックを使ったり、ハンガーで吊るしたりして、浮かせるように工夫している人も中にはいた
  • 収納スペースいっぱいにボトルやチューブが置かれていて余裕がなさそうな人が多かった。
  • シャンプーやボディーソープなどを別売りの容器に詰め替えて使っている人もいたが、数としては少数だった。

洗面台と浴室における写真観察の見解

ハミガキやハンドソープ、シャンプーなどの、洗面台や浴室で使う道具の置き方について見てみたところ、洗面台のフチや浴室のカウンターにそのまま道具を置いている人が多かったです。一部シャンプーやハミガキ、コップなどをハンガーなどで吊るして床や台に直接置かないようにしている人もいましたが、数としては少数でした。

ボトルやコップの底面は水滴が残っている状態で保管すると水垢やカビが生えやすいため、台から浮かせて置いた方が良いと思われます。しかし、そういった工夫があまり見られなかったことから、底面の汚れをあまり意識していない、もしくは汚れよりも手に取りやすい置き方を重視している人が多いのではないかと考えられます。

また、洗面台と浴室の収納スペースを見てみると、スペースに余裕がなさそうなものが多く見られました。今回の対象者は主婦の方なので、旦那さんの道具や、子供がいる場合はその分の道具もあり、物量が多くなりがちです。洗面台や浴室の収納スペースについても悩んでいる人は多いのではないかと考えられます。

また、浴室の写真について見てみると、浴室用洗剤やスポンジなどといった掃除用具が写っていない、もしくはシャンプーやボディーソープなどとは離れたところに置かれている写真が多くなっていました。収納スペース的な問題でシャンプーなどとは別の場所に置いているのか、あるいは体を洗うものの近くに置きたくないという意識があるのかもしれません。

写真で観察! 全体まとめ

今回は、簡単な実態把握の方法として写真の観察をどのよう使い方ができるか、その有効性について、「キッチンシンク」「洗面台」「浴室」の事例を用いて確かめてみました。

結果としては、簡単に現場の実態を把握したいといった場合に、写真の観察は効果的に利用することができるということが分かりました。webアンケート上で対象者から写真を送っていただくだけなので、エスノグラフィー調査のように実際の現場に行く必要がなく、非常に手間がかからないというメリットが感じられました。

また、大量の写真を観察するとなると時間と手間がかかってしまいますが、今回のように30~40枚程度の枚数でも実態について大まかな傾向を捉えることができたので、本調査前に軽く実態を把握したいといった予備調査的なレベルであれば、ある程度小サンプルでも効果的に使えると考えられます。

味の素株式会社で冷凍餃子のこげつきを検証するために、こげついた実物のフライパンを回収して観察をおこなったという事例もあるようです。このようなケースでも、こげつきの状態だけを確認したいという内容であれば、もしかしたら写真を使った観察調査も活用できるかもしれません。

参考:味の素冷食Twitter「冷凍ギョーザ張り付きフライパン騒動」一部始終|日経クロストレンド

ただし、しっかりと観察したい状況の写真を送ってもらえるように事前に撮り方についての指示を的確に伝える必要はあります。具体的には、撮影前に観察したい対象とその周辺の状況が分かるように撮ってもらう、普段の生活状況のままを撮ってもらう、といった内容を文章や撮影例の画像などを使って説明します。

また現場の状況について、理由やどのように使っているかといった背景については、写真からだけでは把握することができないので、アンケートやインタビューなどと組み合わせることが効果的だと考えられます。写真の観察の中で浮かんだ疑問や仮説を、調査票やインタビューフローの中に盛り込むことで、より深い実態把握ができるのではないかと考えられます。

株式会社マーケティング・リサーチ・サービスでは、アンケートやインタビュー実施の際に、スクリーニングや事前課題、本調査設問などで対象者から写真を送っていただくといったことも対応可能です。仮説を抽出する際に軽く実態を把握したい、写真で状況を観察して気づいたことをインタビューで深掘りしたい、などのご要望がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

(digmar編集部)