トレンド分析アンケート
~世間をにぎわせているキーワードについて一斉に調査してみました~Part2(前編)

前回Part1に引き続き、今回は「最近1年以内に」という視点を軸として、トレンド項目①~⑩について個別に詳しく見ていきます。(⑪以降は後編にて掲載)

① クラウドファンディング(IT・ソーシャル関連)

インターネットを通じて事業資金を募るクラウドファンディングは、日本では2010年くらいに立ち上がり、以降は「CAMPFIRE」、「Makuake」などを中心に盛り上がってきました。

現状のクラウドファンディングの浸透状況としては、認知率は7割ほどと比較的高率であるものの、実際の利用率は7.2%といまだ低い水準となっています。

男性の利用率が9.1%と女性に比べて倍ほど高くなっており、特に男性20代は利用率(12.7%)、「最近1年以内に利用開始」(5.5%)ともに男性の中でもとりわけ高くなっています。

50代での利用率は特に低いのですが、利用意向あり(「興味はあるが利用/実施していない」)は男性50代(20.6%)、女性50代(22.2%)ともに他の年代よりも高くなっておりポテンシャルがうかがえます。

一方、女性20代の利用意向ありが極めて低く(1.7%)、また未認知(「知らない」)の割合も高い(44.8%)ため、まだ彼女たちの「心を掴めていない」どころか、「心に入りこめていない」というのが現状のようです。

② 動画配信以外のサブスクリプションサービス(IT・暮らし関連)

いわゆる「定額支払いで使いたい放題」サービスであるサブスクリプションサービス。実際には古くから一般的なサービスなのですが、IT技術の発達に伴ってその様相を一新し、近年話題となっています。(なお、ここでは③動画配信サービスとは分けて考えています。)

おおむねの傾向として20代・30代の若い年代ほど利用率が高くなっており、5年以上前、1年以上前から継続して浸透していっている状況がうかがえます。男女での傾向としては、女性の「最近1年以内に利用開始」(4.1%)が男性(2.1%)と比べて高くなっています。特に女性50代の「最近1年以内に利用開始」が6.3%となっており、最近何かしらのプチブームが起きたのかもしれません。

逆に、女性の中でも20代については未認知が46.6%と高い割合となっており、アプローチしきれていない層の存在がうかがえます。

なお、先述のとおり実は昔からある新聞や雑誌の購買契約もサブスクリプションと言えます。今回は概観的な調査のため詳しくは分類しませんでしたが、このあたりもしっかり切り分けて調査を重ねるとより多くの視点やアイディアが見つかりそうです。

③ 動画配信サービス(IT・娯楽関連)

NETFLIX、DAZN、Amazonプライムビデオに代表される動画見放題のサービス。TVerやABEMAなど(一部)無料のサービスも含まれ、今回のランキングでは全体の認知率および利用率でトップとなったサービスです。
コロナ禍におけるいわゆる「おうち時間」の増加も追い風になったと考えられ、離反率(「利用者」+「以前は利用していたが現在は利用していない人」のうちの「以前は利用していたが現在は利用していない人」の割合)はIT関連の項目の中で最も低い15%程度となっています。
また、IT系が多くを占める今回のトレンドの中では珍しく、男女別では女性の方が利用率が高いサービスとなります。特に女性20代については利用率が50.0%に至っており、現在では彼女たちにとってはテレビよりも身近な存在となっている可能性もあります。
一方、男性20代については、全体では15%ほどである未認知率が23.6%にのぼっており、なんらかの取りこぼしがあるのかもしれません。
また男女ともに50代の3割ほどについては認知しているにも関わらず利用意向なし(「利用/実施していないし、今後もしたいと思わない」)となっており、どちらかというといまだにテレビ視聴がメインなのかもしれません。しかし現代社会では50代でもまだまだ若く、今後も長く続いてゆく人生の中で動画配信サービスに触れる機会はあると考えられるので、そのためのアイディアもたくさんあると思われます。

④ IoT家電(IT・暮らし関連)

家電がインターネットとつながっている、というのはひと昔前までは想像もできなかった状況で、そんな未来はもうすでに手の届きそうなところまで来ている——というのがIoT家電のイメージではありますが、実際にはいまだ実現には至ってはいないようです。

いわゆる「デジモノ」の最先端ということで、男性の利用率が女性を大きく上回っていますが、それでも男性で6.2%の利用率にとどまっています。しかしそのうち2.5%が最近1年以内の利用開始ということで、男性の中では着実に裾野は広まっているようです。また、特に男性50代の利用意向あり(「興味はあるが利用/実施していない」)は38.1%と全年代の中で突出しています。一方で女性50代では利用意向なし(「利用/実施していないし、今後もしたいとは思わない」)が41.3%と高くなっており、50代夫婦の家電選定では不和が引き起こされそうなのが容易にイメージされます。ということでこれを解決するアイディアが期待されます。

また、もうひとつのポイントとして挙げられるのが、女性30代の利用率が6.5%と男性なみに高いことです。IoT家電以外にも、女性30代はIT系の利用率が高めになる項目が見受けられるので、この世代の女性にはそういった特徴があるのかもしれません。その一方で、女性20代については未認知が65.5%と、①クラウドファンディングと同様またしても非常に高率となっています。

IoT家電の利用率の全体的な低さについては、スマートホームという概念もあるにはありますが、掃除機、エアコン、照明など個々の家電で用途が限定されていたりイメージが分散していることで、総体的な浸透が妨げられているのかもしれません。

⑤ ウェアラブル端末(IT・健康・暮らし関連)

2015年に初代アップルウォッチが発売され、当時は大いに話題となりましたが、FitbitやGarminなどの活動量計を含めたウェアラブル端末全体でも現在の利用率は6.7%となっています。
おおよその傾向は④IoT家電と同様で、男性の利用率が高くなっており、この項目でも女性30代は男性なみの高水準です。女性20代の利用率も高めなのですが、一方で未認知率も74.1%に至っており、女性20代についてはIT・デジタル分野に関して何らかの「壁」の存在があるように見受けられます。
男性50代で利用意向ありが高く(33.3%)、女性50代は利用意向なしが高くなっている(39.7%)傾向もIoT家電と同様ですが、こちらは本人が身に着けるアイテムですので家庭内の不和は回避されそうです。
特に男性においては「機械式腕時計vsスマートウォッチ」の構図で話題になることもありますが、ウェアラブル端末のスマートフォンなみの普及にはまだ時間がかかりそうです。

⑥ オンラインライブ(IT・娯楽・コロナ関連)

今回の調査での「最近1年以内に利用開始率」ランキングでトップとなる8.2%の人がこの1年で利用を開始したオンラインライブは、まさにコロナ禍によって生み出されたトレンドと言えます。
属性別に利用率を見てみると、若年層のほか男性については40代・50代でも高めになっています。また、女性40代・50代での利用者のうち大半が「最近1年以内に利用開始」となっており、引き続きの伸びしろを感じられます。さまざまなアーティストがさまざまな工夫を凝らしていると考えられるサービスであるため、年代での傾向でとらえるべきではなく、「個々人の好きなものに依存しているサービス」と考えるのが妥当なのかもしれません。
IT・デジタル分野に「壁」を感じられた女性20代についても③動画配信サービスほどではないものの高めの利用率となっています。一方、女性30代の「最近1年以内利用開始」率の低さ(1.6%)が目立っており、この要因も気になります。忙しいのでしょうか。
なお、オンラインライブはリアルライブの単なる代替ではなく、オンラインライブならではの魅力が創出されている事例もあるため、「コロナ以降」の世の中におけるサービスを考える上でのヒントが蓄えられているかもしれません。

⑦ リモート飲み(IT・ソーシャル・娯楽・コロナ関連)

ここ1年での話題性では⑥オンラインライブ以上の露出の多さであったと思われるリモート飲みですが、全体の利用率ではオンラインライブを下回る結果となりました。
特に利用意向なしは全体で51.7%を占める一方、利用意向ありは7.8%と極端に低く、話題とはなっても実は冷ややかな目で見られていた、という見方もできます。離反率(「利用者」+「以前は利用していたが現在は利用していない人」のうちの「以前は利用していたが現在は利用していない人」の割合)も3割に迫る水準であり、トレンドとして下火傾向であることがうかがえます。
ただし、若い世代での「最近1年以内利用開始」率は高くなっています(男性20代・10.9%、女性20代・8.6%、女性30代・12.9%)。もしかすると単に時代のあだ花で終わるのではなく、形を変えて次世代の新たなコミュニケーションツールとして確立されるのではないか、という可能性も感じられます。

⑧ オンラインサロン(IT・ソーシャル・娯楽関連)

今回とりあげた項目の中でも最もフレッシュなトレンドと考えられるオンラインサロンですが、全体の利用率は4.7%と「利用率」ランキングで下から2番目の水準となり、ブームというよりは話題性が先行している段階、盛り上がっているというよりは立ち上がりの段階であると考えられます。
2014年に堀江貴文氏が立ち上げたことから広く一般に知れ渡るようになったと言われています。今回は特にClubhouseとの切り分けもせずに設定した項目なので、Clubhouseをオンラインサロンととらえる人も含めての結果となります。
全体的には未認知が46.4%とほぼ半数を占め、利用意向ありも9.0%にとどまっています。
性別・年代別に利用者を見てみても、男女50代を除いて各年代に利用者は散在している状況とみられ、この点からもサービスとしてはまだ立ち上がり段階であることがうかがえます。
⑥オンラインライブ同様、リアルのオンライン化というサービスなのですが、オンラインライブがコンテンツ主導で地盤が堅いのに比べて、こちらはオンラインサロンという大きなくくりの中でClubhouseのように局所的に爆発と鎮火が起きるといった見方もできます。ただし、その繰り返しの中でも新たに大きな文化が育まれる可能性は感じられます。

⑨ ワーケーション(IT・娯楽・仕事・コロナ関連)

「利用率」ランキングで⑧オンラインサロンを下回って最も低い利用率となったのがワーケーションです。それでも「最近1年以内に利用開始率」ランキングでみた場合には下から6番目となったのは、新型コロナウィルス関連のトレンドであるためと考えられます。
一見して目立つのが男性20代の利用率の高さ(9.1%)ですが、この点は例えばアドレスホッパー的な働き方も一種のワーケーションとしてとらえられている可能性もあり、最近取り上げられるようになったトレンドであることから定義を含めて内容のさらなる精査は必要と思われます。特に男性50代で利用意向ありが19.0%となっている点、会社での上役がイメージする「ワーケーション」と若手が考える「ワーケーション」では内容が異なりそうなところも留意する必要がありそうです。
また、サンプルは少ないものの離反率(「利用者」+「以前は利用していたが現在は利用していない人」のうちの「以前は利用していたが現在は利用していない人」の割合)は4割近くに達しており、なんらか大きな課題もはらんでいそうです。
また、女性全体での利用意向ありの割合は6.1%と男性(12.3%)と比べて目立って低くなっています。未認知率が高い影響もありそうですが、そもそも仕事とプライベートは切り分けたい……という傾向が女性にはあるのかもしれません。

⑩ リモートワーク(IT・仕事・コロナ関連)

コロナ禍における「リモート」つながりで⑦リモート飲みとともに各種メディアで取り上げられることの多かったリモートワークです。
リモート飲みよりも切実にコロナによる影響が大きいと考えられますが、これだけ各方面で取り上げられていながら、目下の利用率は15.1%となっています。
特に目立つのは男女での利用率の差(男性・20.2%、女性・10.2%)です。一般に女性は主婦専業が占める割合が男性よりも高いことが要因となっていますが、パート・アルバイトなどの雇用形態も男性より高い割合と考えられ、こういった方々がリモートワークをしたくてもできないという事情が女性の利用意向ありの割合の高さ(11.4%)に見てとれます。
全体に目を向けてみると、利用意向なしの割合の高さ(48.1%)が目立ちます。リモートワークをしたくない、という理由にも多様な要因や理由が考えられ、この点にも新たなサービスが生まれるための様々なヒントがひそんでいるように思われます。
また、離反率(「利用者」+「以前は利用していたが現在は利用していない人」のうちの「以前は利用していたが現在は利用していない人」の割合)は2割程度となっており、この点は⑨ワーケーションのように「付加価値の創出」ではなく、「不便の解消」や「必要に迫られて」といった点がベースになっているので定着しやすいものと考えられます。