めくるめく行事食の世界【前編】
消費者はなぜ、律義に「行事食」を食べるのでしょう。
先日、久しぶりに顔を合わせた後輩たちと、昨年の年越し蕎麦の話になりました。
グローバル化が進む21世紀の日本、バラエティ豊かな惣菜も揃う中、年越し蕎麦なんて食べない人もいるだろうと思ったら、一人暮らしの男性も含め、なんとほぼ全員が「食べた」
と言うではありませんか。
私は若者や一人暮らしの人を含め「あなたも?」という人が律義に「年越し蕎麦」を食べていたことに正直驚きました。彼らは他の行事食も食べているのでしょうか。
もし、食べるものを選んでいるとしたら、それらにはどんな違いがあるのでしょう。
さて、まずは、国内で見受けられる年間の行事食らしきものについて調べてみました(あなたはいくつご存知ですか?)。
などなど、ざっと挙げても実に多種多様。
他には季節の和菓子や、地方に特有の行事食などもありそうで、日本の食文化が世界でもかなり稀有で特殊なものに見えてきます。
そこで、行事食の種類をじっと眺めてみますと、五節句など「節目を祝う」ものの他に、「穢れを祓う」、「験(げん)を担ぐ」、「そのタイミングの収穫を祝う」、「特定の栄養を摂る」
ものに分かれることがわかります。
また、どうやら「マーケティングにより創作されたもの」も意外にありそうです。
マーケティングにより作られた行事食の歴史をさかのぼりますと、古くは、夏に味が落ちて食べられていなかった「うなぎ」を秀逸なマーケティングで土用の丑の日とくっつけた、かの平賀源内が有名。
比較的新しいのは、コンビニチェーンが仕掛けて全国に広まったといわれる「恵方巻」でしょうか。
また、バレンタインデーの「チョコレート」、クリスマスの「イチゴのショートケーキ」などは、海外の行事にうまく乗っかった日本独自の行事食。
そう、日本人は世界各国からもヒントを得て、独自の行事食を作り上げてきたことがわかります。
いずれにせよ、現存する「行事食」は、たゆまぬマーケティングの賜物、と言えそうです。そう思うと、もしかして「行事食」として成功者のポジションを得ているものは、これまでに
仕掛けられたうちの、ほんの一部なのかもしれません。
今回、私が確かめたいと考えたのは「多くの消費者から採用されている行事食には、なにか成功の法則があるのではないか」、「行事食の成功法則をベンチマーク
すれば、ブームとなる商品が生み出せるのではないか」という仮説なのですが、さて、皆さんは、どのようにお考えになりますでしょうか。